体験談

自然は全てつながっていると感じる“佐賀海苔”の生産現場/佐賀教区栄える会会頭 近藤 千能

2024年7月3日  

 私は母のお腹にいるときから『甘露の法雨』を胎教として聞き、生長の家を信仰している家庭に育ちました。育った環境は、いわゆる田舎と呼ばれる自然豊かな場所でした。近くに山も川もあり、そのことが当たり前であるように思っていました。

私は以前、金融関係の仕事をしていましたが、2018年からは佐賀県のブランドである“佐賀海苔”を生産する現場で働いています。次女が中学3年生の時に家庭教師をお願いした方の繋がりで、人手が足りず困っていて手伝って欲しいとのことで引き受けました。

仕事の内容は、生産者が収穫した生海苔を板状にすいて成形し、乾燥海苔とする工程を担当しており、その後出荷するという流れです。乾燥機から出てきた海苔を見る時は、子どもが生まれたような喜びを感じ、出荷の時には「いってらっしゃい」と子どもを送り出すような気持ちで見送っています。

佐賀県は2021年まで19年連続で、海苔の生産量・販売額ともに日本一でした。しかし、ここ2年ほどは不作が続き、取れた海苔も色落ちてパサパサで味がしないものが多く、海苔が大好きな佐賀県民からすると、これらを”佐賀海苔”として出荷することはできません。

海苔が不作となっている原因は、大きく2つあると思っています。1つは山の元気が以前よりないことと、海水温が高いことです。海苔が育つための栄養は、山に雨が降ることで海へ届けられます。ところが、今の山は人工の針葉樹が多く、腐葉土が少ないことから、山の栄養が少なく、海苔が育つための「栄養塩」が海に少ない状況です。海苔業界の皆さんは、そろって「山に元気がない」と話されます。また、海苔は海水温が低いとよく育つのですが、最近の人間至上主義の活動が地球温暖化を引き起こし、気温上昇と共に海水温も上がっていることが関係しています。

さらに、酸性の液を使って海苔の病気を予防し、海苔の生産枚数を増やす「酸処理」も、栄養のない海となった一因だと思います。人間が自分たちの生活だけを豊かにしようとしてきた代償を、自然は正直に表してくれていると感じます。

香り豊かな美味しい海苔となるためには、山の栄養や海の水温、雨の量、どれ1つが欠けてもいけないということが分かり、自然は全てつながりがあるということを、海苔の生産に携わって感じました。私たちに与えられている自然の恵みは当たり前のものではなく、全ては神様からのいただきもので、それに感謝しながら自然とともに生きていくということを周りの方々にもお伝えしていきたいと思います。

また、私は2012年から地域の公衆トイレ掃除の活動に参加しているのですが、そこでは自然由来の洗剤を使っており、海を汚さないようにしています。このような身近なことを積み重ねることで、美味しい海苔が育つ海にしていきたいと思います。

海苔の生産現場に入って6年と経験は浅いですが、私なりのやり方で、神・自然・人間が大調和した“新しい文明”の構築に貢献するため、これからも海苔を通して自然の恵みに感謝する生活を送ってまいります。


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