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『生長の家ってどんな教え?』谷口雅宣先生著
『平和のレシピ』 谷口純子先生著
春、この言葉を聞くだけで、なんだか嬉しい気分になります。季節とともに子供たちは、またひとつ新しいページをめくっていきますね。
その成長が嬉しくもあり、巣立っていく寂しさもありますが、一日一日を丁寧に、過ごしていい思い出を作っていきたいですね。「当たり前」として見過ごしている日々の営みのなかに、かくれて見えていない本当に大切なものがあります。今月は、「美しい地球を子供たちに」「平和の種をまきましょう」です。
子供たちの未来のために
日本は、今では世界の中でも、豊かで、自由で平等で、平和な国です。それはきっと、世界中の人々が目指しているものだと思います。今、日本は物が豊かにあり、生活はとても便利になりましたが、そのような中にありながら、みんなが幸せを感じているかというと、どうもそうではなさそうです。ものの豊かさや便利さが、幸せにつながらないということは、きっとみなさんも感じているのではないでしょうか。
この地下資源文明の発達と物が豊かにあるということは、振り返ってみると、自然環境を破壊しながら進歩してきたということだと思いますが、破壊してきたのは、自然だけかというと、そうではなく人の心も壊されているように思えてなりません。
文明は進歩する方がいいと信じ、地球資源も無限にあると思い地下資源をどんどん掘り出し、エネルギーを生み出してきました。そして、現代の社会は、より便利な生活をかき立てるコマーシャルで溢れ、簡単に便利に早く、なんでも手軽に、いつでも手に入る、すべてがそのような方向に進んでいます。ですが、それはどういうことかというと、私達は欲望や衝動を我慢したり、耐えたり、待ったりする生活、自分でつくったり、心を鍛え努力することをしなくてすむような習慣がついていきます。それは、ものに対してだけでなく、人との関わりにおいても、我慢できなくなっているように思います。我慢する必要のない生活、自分の欲求を抑えなくていい生活は、知らず知らずのうちに人の心もそういう方向に向わされてしまいますから、親子、夫婦、友人様々な人間関係の関わり方の中においても、ささいなことで、衝動がとめられないで大きな事件につながってしまうと残念なことにもなります。
生長の家総裁・谷口雅宣先生は御著書『生長の家ってどんな教え?』の中で、このようにお説きくださっています。(236~237頁)
現象世界の中で最悪のものが戦争です。これにつながる危険性があることは、我々は絶対しないようにしなければならない。平和を実現しまた守るためには、いろいな方法がありますが、ただ希望して祈っているだけではダメです。自らが何か実行することが必要です。地球環境問題や戦争などの大きな問題は、我々が今までのライフスタイルを変えないでいて、何かが変わると思うのは間違いなんです。何故かと言えば、この世界は唯心所現の世界だからです。我々の心の総合的な表現として、地球温暖化が現れているのであり、戦争が起こっているのです。「自分は日本の片隅にいるから関係ない」と思っているかもしれないけれども、化石燃料を大量に消費する現在の文明を支えているのが我々です。家畜が食べる穀物を育てるために、石油を原料とする化学肥料が大量に使われます。「他人や他の生物を犠牲にして栄えよう」という我々の心が巡り巡って、こういう問題に結びついている。
私の周りの世界は、私自身の心の作品です。心で思う習慣が、言葉や行動の習慣となり、私たちの環境や人生を築いていきます。
世界各地で、また最近では日本においても、環境破壊によって、自然が脅かされ、私達の暮らしにも影響がありますが、それは、反対に私たち一人ひとりの生活と自然が密接に繋がっているということでもあります。経済発展や物の豊かさを追求してきた私たちのひとつひとつの選択が、世界各地での環境破壊に繋がり、それによってそこに住む人々の暮らしが脅かされているということを知ることも、大切なことだと思います。日々生きていくだけで、大変で、そんな大きな問題を考える余裕はないと思われるかもしれませんが、自分の暮らしを大切にしながら、見えないものに意識を広げてみることは、21世紀を生きていく子供たちにはとても大切なことなのです。
こんな小さなことでも?というくらい小さなことでよいのです。
ひとつひとつのライフスタイルを見直して、大自然に感謝する生活を心がけていくと、それが習慣となって、周囲に良い影響を与え、やがて社会を動かす大きな力となります。
それは、小さいながらも、世界の平和に貢献する愛行ですから、そのような愛の心が神様の心と波長が合って、自分や子孫の人生が豊かに幸せに導かれ、次世代に良い遺産を残すことになります。自分だけが、自分の国だけがしあわせを感じていても、他のいのちが犠牲になっているとしたら、それは神様の御心と波長があいそうにありません。豊かにものがあることが幸せなのではなく、豊かな心が幸せな人生を作っていきます。
「身近なところから」「できることを」「楽しく始める」平和の種
生長の家白鳩会総裁・谷口純子先生は御著書『平和のレシピ』にこのようにお書き下さっ
ています。(224頁)
これらの五つの提案(神において一体を信じる/買いすぎない、持ち過ぎない/安さの裏側を考える/地産地消をしよう/家庭菜園をしてみよう)は、私たち一人一人が自分の生活を、自らの意志と手によって作り出していこうというものです。完全にはできないかもしれません。面倒なこともあるかもしれませんが、できることからしていただければと思います。それが世界の平和に寄与するとともに、未来の世代によい遺産として残せます。さらに私たち一人一人の心を豊かにし、神性、仏性の開顕につながります。
現代に生きる私達の生き方が未来世代に生きる子供や孫達に大きな影響を与えることがわかったとしても、「なんとかしたい」「どうしたらいいのか」「何をしたらいいんだろう」と思っても、何もできない、しないままで過ごしてきたかもしれません。
でも、実は私たちには、特別な大変なことをしなくても、毎日の衣・食・住の生活の選択や消費の中で社会や世界に影響を及ぼすことができます。それは、日常生活の中で、私達が何を買うのか、買わないのか、何を食事として食べるのか、食べないのか、消費したものをどのように使い、どのように廃棄するのか、エネルギーをどのように選び、使うのか、という一見些細と思われる日常生活の選択の中に地球環境や平和に繋がる種があります。そこで生長の家では、皆さんに次の三つの生活法をおすすめしています。
・ノーミート、低炭素の食生活
地球環境をまもり、動物の命を大切に肉食を控え、ノーミートの食事を積極的に取り入れます。家庭菜園をしたり、食材を購入するときは、地産地消、旬産旬消、有機食品を意識して選択します。できるだけ手作りの心豊かな食生活をおすすめします。
・省資源、低炭素の生活法
交通手段として、自転車を利用したり、環境に優しい自然エネルギーの利用をすすめます。何かを買おうとするとき、本当に必要なのかを考え、買いすぎたり、持ち過ぎたりしないで、安さの裏側を考えて、作っている人や作られている環境を思いやります。マイ箸やマイバックの使用。
・自然重視、低炭素の表現活動
自然との一体感を表現する活動として、自然素材を用いたクラフトなど、身近なものを手作りしてみます。手作りのものは、感謝と喜びにあふれ心を豊かにします。
ただ安いから買うという消費者ではなく、作っている人や作られている環境、そして次世代に生きる人々や地球生命のことを思いやって、普段、何気なく生活しているひとつひとつを、少し立ち止まって振り返って行動することを心がけてみませんか。ひとりひとりの力は小さくても、集まれば大きな力になります。
また、家庭菜園で自分で野菜を作ってみることで、自然の素材に触れクラフトを手作りしてみることで、光と風を感じながら自転車に乗ってみることで、何か特別なことをしなくても、何か特別な物を得なくても、人生にはこのままでいろいろな善いもの、素晴しいもの、感動を与えてくれるものがいたるところにあることが、見えてくるのではないでしょうか。太陽が輝いていること、空気があること、土があること、一粒の種から植物が育つこと、家族や仲間の笑顔があること、物事を得ることばかり、ないことばかり思わずに、もうすでに沢山の恵みに満ちあふれていることに思いをつなげると、自分の内側から感動と感謝の思いが湧いて、本当の豊かさに気がつかれるでしょう。
そのように、日常生活のひとつひとつを生かしていくところに、平和の種があり、ほんものの生命の働きが出て、心身が健やかに、喜びに満たされますね。
美しい地球を子供たちに
生長の家の〝人間神の子〟の教えでは、自分のみではなく全ての人間が、そして人間のみならず全ての生物は、神の〝無限〟の表現としてかけがえのない存在であり、全ての生命が神において一体であり、互いにいのちの兄弟姉妹であること教えていただいています。
子供たちや、そしてまだ見ぬ先の子供たちの将来を守り、この美しい星、地球で、しあわせに暮らせることを願い、「美しい地球を残してくれてありがとう」と感謝してもらえるように、今できることから始めてみましょう。
生長の家では、自然と調和した“新しい文明”の基礎をつくるプロジェクトとして、さらに次の3つの活動に取り組んでいますので紹介します。興味のある方は是非、公式サイトを除いてみてください。
・SNIオーガニック菜園部
有機農法での野菜作りやノーミートの食事、地産地消・旬産旬消など「食」に関わる情報や、家庭菜園の喜びを共有しながら、自然と調和した生き方に取り組んでいます。
・SNI自転車部
日常の生活手段として、自転車の利用を推進。自転車に乗ることで心身の健康や、自然との一体感が深まります。生長の家が開催する自転車イベントも紹介しています。
・SNIクラフト倶楽部
「安くて便利」と買うのではなく、もののいのちを大切に、神のいのちの現れである「素材」を生かして自分で作ってみることによって生まれる喜びを共有しています。
私達の目指しているライフスタイルは「あれをしてはいけない」「これをしてはいけない」というがんじがらめの生活ではなく、今すでに与えられている神様の賜り物である多くの恵みに感謝しながら、大切にしながら、楽しみながら、心豊かに生きる生活です。
その感動や喜びをまた『日時計日記に』書きとめると、毎日が楽しいものになるのではないかと思います。いっしょにはじめてみませんか。
飢餓に苦しむ世界の人々に思いを寄せて一汁一飯をいただく
今、世界では9人に1人、7億9,500万人の人々が飢餓で苦しみ、子どもは5秒に一人、一年間で約1,500万人が、飢餓が原因で死亡しているにもかかわらず、日本は食糧を年間5500万トン輸入しながら、約3分の1の1800万トンを捨てているということは、残念なことです。飢餓で苦しむ人々がそんな光景をみたら、なんと思うでしょう。
当たり前のようにいただく自分の食事の昼食か夕食を、1カ月に1回でも、一杯(150g)のごはんと一杯のお味噌汁だけにして本来、神のいのちにおいて一体である飢餓で苦しむ人々に心を寄せて「一汁一飯」の食事をいただきます。
何か他のためになることを心がけて、一杯のご飯がいただける平和を心から感謝していきたいですね。
今月は、「世界平和の祈り」をしましょう です。
〝神の無限の愛 我に流れ入り給いて、我において愛の霊光燦然と輝き給う
その光いよいよ輝きを増して全地上を覆い給い、全ての人々の心に、愛と平和と
秩序と中心帰一の真理を満たし給う〟
さて、今月の普及誌「白鳩No96」も大変参考になりますので、併せてごらんください。また、全国で開催されています生長の家の「母親教室」へのご参加を心よりお待ちしています。