【H29.5月】Web版誌友会テーマ「今日のごはんと環境問題
テキスト 谷口雅宣先生著 『次世代への決断』
谷口純子先生著 『おいしいノ-ミ-ト 四季の恵み弁当』
『白鳩』普及誌No.86
現在、日本に暮らす私たちは、大変豊かで、便利な暮らしをしています。
毎日の食事にも困ることはありません。市場に行ってお金を出せば、欲しい物は何でも手に入ります。
却って、美味しい物を食べ過ぎて、肥満や成人病が増えているのが現状です。
今月のテ-マは「今日のごはんと環境問題」です。
「食」の問題について考えてみましょう。
◇台所は、環境、資源、平和の問題と直接結びついています
あなたは、毎日の食事を作る時、どんなことを考えて作りますか。
家族の好きなもの、喜んでくれるもの、健康によいものをと考えて作っておられることと思います。
けれど、仕事をしている主婦は、家族のために美味しいものを手作りしたいと思っても、時間を掛けて作る余裕がなくて、仕事の帰りに、すぐ食べられるものを買って帰り間に合わせるという人が少な くないのではないでしょうか。
先日も、NHKのテレビ番組で「子どもの食事」について取り上げていました。「これではいけない」と 分かっていても、家族が家で待っていると、時間をかけて作ることができないのが現実です。と日本 の家庭の「食」の現状を話していました。
しかし、それで「しかたがない」と済ませてよいのでしょうか。
日本は敗戦直後の食糧の乏しい時代を経験し、それから経済発展を遂げ、今は、大変豊かな国になり ました。
しかし、世界の状況を見ると、経済発展至上主義による資源枯渇、自然破壊、地球温暖化、グロ-バリゼ-ションによる貧富の格差、飢餓で苦しむ人々、テロ、戦争による難民が増えています。私たちは、このような現状を前にして目を瞑っているわけにはいきません。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
それは、産業革命以降、人類は科学技術の発達に伴って、競って経済発展至上主義を掲げ、豊かさの中に幸福を追求してきました。自然を人間の道具とみなして、地下資源を掘り出し、都市を作り、 自然生態系を壊し、エネルギ-を供給して、大量生産、大量消費、高度消費型社会が実現し、人類 の生活は次第に自然から遠ざかり、効率優先の物質主義的な生き方に変わってきました。
人間の豊かさの追求がこのような結果をもたらしたのです。
白鳩会総裁・谷口純子先生は『おいしいノ-ミ-ト 四季の恵み弁当』の中で、次のように、お説きくださっています。
人は毎日食事をしなくては、生きていけません。その食事で、何を食べるか、どこからきたもの
を食べるか、どのように栽培されたものを食べるか、そのことにより、二酸化炭素の排出を増やした
り、抑制したりできます。
また、貧しい国の人々の食料を奪う食べ物もあります。ですから、人の食料を奪わず、農薬などで
環境を破壊せず、地産地消を心がけることは、世界平和にも、大いに貢献することになります。
台所は、環境、資源、平和の問題と直接結びついていることがわかります。私たちが、何を選択する
かは、大変重要なのです。
今、私たちが、美味しいから、便利だから、都合が良いからと選択して食べているものは、知らず知 らずのうちに、自然環境を破壊し、地球温暖化を促進し、貧しい人々から食料を奪う食生活になっているのです。
◇肉食の弊害
経済発展によって国が豊かになると、肉食の需要が増え、世界の食肉需要は年々増え続けています。
美味しいし、栄養があるし、輸入肉など比較的安価で料理が簡単だからという理由で、多くの家庭で食されているのではないでしょうか。
総裁・谷口純子先生は、普及誌『白鳩』N0.86の「想像力を働かせる」の中で、次のようにお説きくださっています。(7~8頁)
今の世界人口は七十四億といわれているが、その内の約十分の一以上、およそ十億人が飢餓に 苦しんでいる。七人に一人の割合だから、とても大きな数字である。しかも現代の飢餓は、地球全 体で収穫される食料が、不足しているからではないのだ。適切に栽培され、公正な分配が行われれ ば、飢餓の問題は起こらないのが今の世界である。にもかかわらず飢餓が発生するのには、いくつかの理由がある。
肉食の増大、政治の不正、気候変動、紛争や戦争による社会の混乱などが挙げられる。その中で、 大きな影響を及ぼしているのが肉食だ。人間の生活行動の傾向として、富を多く手にするに従い、 肉食の割合が増えてくる。経済発展の結果、富を得た人々がより多くの肉を欲するようになり、需 要を満たすために動物を早く太らせる肥育が行われ、肥育のため穀物が動物飼料用に栽培されてい るのだ。結果として穀物が人間の口に入らず、飢餓が発生している。人間の欲望が、飢餓を生んで いるのだ。
このように飢餓の原因が肉食にあることが分かります。
また、肉食は現在の喫緊の課題である地球温暖化にも大きな影響を及ぼしています。放牧のための森林伐採や長距離運送による二酸化炭素の排出、さらには動物のげっぷから出る膨大な量のメタンガスは、二酸化炭素の20倍以上の温室効果になります。
このように、自分の生活が他の人や環境に悪影響を及ぼしているという事実を知ると、食生活を変えなければと、思いませんか。
◇信仰と生活を一致させた食生活を
生長の家は、立教以来、人間は神の子であり、人間だけでなく動物も植物も、その他すべてのも のは神の生命において一体であるという、「自他一体」の教えを掲げ、今の世界の状況を鑑み、時代の要請に応えて、人類が自然と共存することで幸福に生きる道を示すために、神・自然・人間の 大調和した“新しい文明”の構築を目指して運動しています。
私たちが追い求めてきた豊かで便利で効率の良い生活は、地下資源を大量に使い、二酸化炭素を 大量に排出して、環境を破壊し地球温暖化を促進させ、異常気象の原因となっているのです。
買い物に行くと、季節を問わず、ほしいものが何でも手に入ります。外国産のくだものや野菜が 割安で並んでいます。調味料やインスタント食品も品数豊富に売られていますが、何を食べるか、 どこからきたものを食べるか、どのように栽培されたものを食べるかによって二酸化炭素の排出量が 変わります。外国から大量に運ばれて安く売られているものは、フ-ドマイレ-ジが高くて、地球温暖化に繋がります。また、農薬や科学肥料を大量に使って、生産された野菜は土壌を汚染し、健康にも悪影響を及ぼします。できるだけ地産地消、旬産旬消で農薬や化学肥料を使わないで栽培した有機食材を選ぶことが大事です。
肉食を控えることによって、地球温暖化を抑え環境破壊をくい止め、飢餓で苦しむ人を救うことが できます。
生長の家では、「すべてのものは神の生命において一体」の信仰と生活を一致させて、できるだけ 二酸化炭素を出さない、自然環境を破壊しない、他から奪わない低炭素の食生活の転換に取り組んで います。
具体的には、「生長の家が日本国内で推奨する食品選択の優先順位」の表をご紹介します。
1.自分で栽培した有機野菜、及びそれを使った加工食品
農薬や科学肥料を使わず、畑やプランタ-菜園で自分の手で栽培したもの。また、その野菜を使っ
た味噌などの加工品。
2.有機JAS認証のない国産の有機食品
「栽培期間中に、農薬・科学肥料を使っていません」等の表示のある野菜・加工品。有機JAS認定
にはお金と労力がかかるため、地元の農家が無農薬・無化学肥料で栽培していても、認定を受けず
に販売している場合がある。
3.有機JASマ-クが表示されている国産の食品
有機JASマ-クがついている国産の食品でも、原材料の産地を確認する。例えば、有機豆乳や
有機醤油の原材料の大豆が、アメリカ産やカナダ産の場合がある。優先順位としては、自分の居
住地に近いもの、旬のものから順番に選ぶ。
4.国産の減農薬・減化学肥料で栽培された農産物(特別栽培農産物)、その加工品
一般的な栽培方法から農薬と化学肥料の使用量を50%減らしているものを、農林水産省で「特別
栽培農産物」と定めている。「地産・旬産」に配慮する。
5.有機JASマ-ク等が表示されている外国産の食品
外国産の食品はフ-ドマイレ-ジが高く、一般に、どのように作られているかが分かりにくいと
いうデメリットがある。代替品がなく、どうしても必要な場合に選ぶ
水産物は天然物を推奨しますが、入手困難な場合はフ-ドマイレ-ジの少ないものを選びます
この食品選択優先順位表を冷蔵庫などに貼って、よく確認して食材を選ぶ時の参考にしてください。
◇日時計主義の生活を
人間の幸福は、物質的に豊かになることによってだけでは得られません。今、私たちの回りには物 があふれていますが、心の貧困があります。
日々の恵みに喜びを見出す日時計主義を実践し、四無量心を行じ、喜び、感謝を表現することによって、 明るい感謝の気持ちが自分だけでなく周囲に広がり、内在する神性・仏性が開発され「あれも欲しい、 これも欲しい」という精神的飢餓感から解放され、豊かな心、自他共に伸びようという神の子の本心が 引き出され、物質主義的な生き方から抜け出す道が生まれてくるのです。
生長の家総裁・谷口雅宣先生は、ご著書『次世代への決断』の中で日時計主義の実践によって、物質 主義的な生き方から抜け出す道について次のようにお示しくださっています。(178~179頁)
日時計主義の生き方をしていれば、「物が欲しい」とか「遠くへ行きたい」とか「まだ足りない」とか
「不安である」などという一種の精神的飢餓感から解放されます。
今の日本には物があふれていのに、そういう“心の貧困”があります。物が多いことで、かえって
精神が飢えている。-そういう物質主義的な生き方から抜け出す道が生まれてくるのです。価値観の転換
が行われて、外から何かを付け加えることで、幸福を感じるのではなく、内部の神性を開発することに喜
びを見出す。他から奪うのではなく、他に与えることで、充足する。-そういう新しい人間の生き方が
広がっていく。
このように、私たちは、日時計主義を実践して、人間の幸福と自然界の発展が両立する生き方、低炭素の食生活に転換しましょう。
今月も普及誌5月号には、「自他一体」の信仰を生活に表わしてノ-ミ-ト料理を心がけ、 低炭素の食生活に取り組んでおられるお二人の事例を紹介しております。参考になると思 いますので是非お読みください。
また、生長の家白鳩誌友会が全国で開催されています。是非、地元の白鳩誌友会にご参加下さい。