10月テーマ ○しあわせな食卓
○食卓にノーミート料理を
★テキスト 『生長の家ってどんな教え?』 谷口雅宣先生
『平和のレシピ』 谷口純子先生
“食欲の秋”です!書店には様々なレシピ本が並び、テレビの情報番組では、どの局もこの秋の人気メニューの大特集です。とくに四季の豊かな味覚と、海の幸・山の幸に恵まれた日本の「和食」は、食材の持ち味を生かした伝統的な料理法と、その独特の美しさで、ユネスコの無形文化遺産になりました。
今月は、「食」と子育ての深い関係を考えると共に、一人の地球の住人として、世界の「平和」にまで視野を広げて学んで参ります。
心を込めて作る「食事」は子供の心身を丈夫にします
保育士さん、幼稚園の先生、小学校の先生達に共通する悩みは、「最近の子供たちはキレ易い」「ハッキリした理由もなくイライラしている」「弱い子を集団でからかったり、いじめをする」「暴力的な行動が多い」等をあげます。
厚生省が発育期の子供たちの「食事」とストレスについて調査しました。
その結果、分かった事は多様化した生活事情で、朝食抜きの家庭が急増、それが育ち盛りの子供たちに様々な悪影響を与えている事実です。
★朝食抜きの「空腹感」が子供に与える心身の不調では
1)体温が低く、体のだるさや頭痛を訴える子が多い
2)脳の活性化が遅く、学習への対応力が鈍い
3)慢性の貧血や便秘症を起こし易い
4)満足感が薄く、ささいな事で苛立つ子が多い
満腹感→満足感→安心感→情緒の安定です。食事は単に空腹を満たすだけではなく、心身の健康に大きな影響を与える「安定剤」なのです。
「当たり前の食事」・・・お母さんが台所で、家族の為に食事を作る後姿。幸せなホームドラマの定番は、家族揃っての食事風景です。「いただきます」「ご馳走さま」と感謝の合掌。高価でなくても心がホワッと温かくなる、お母さんの手作りの味こそが、どんなストレスをも解消する、「当たり前の食事」の原点ではないでしょうか。
朝、目が覚めると台所から聞こえる音、お母さんの手作りのお弁当、夕食の支度のいいにおい、それらは当たり前と思われる家庭の営みですが、どんなに子供の心の中に安心感をもたらしていることでしょう。核家族が増えた現在の家庭環境をみますと、共働きの親も多く、子供一人で食事をとっているという家庭も中にはあります。共働きの家庭では、なかなか、家族がみんなで食事を取るという時間は持てないかもしれませんが、一週間のなかで家族そろって食事をする日を決めるとか、一ヶ月の中で数日でも、お母さんの手作りのお料理で食事を共にして、家族団らんのひとときを持つことをおすすめします。家族の健康を祈りながら作るお母さんの手料理は、コンビニで買うお弁当とはエネルギーが違います。子供はお母さんの手料理から母親の愛念を受け取り、それは子供の心の栄養となるはずです。お母さん自身も家族の喜ぶ顔をみて、幸せな思いを味わいますね。食事はお母さんの愛情を全身で感じる大切なコミュニケーションです。
食材や自然への感謝の気持ちなど、明るい会話を楽しみながらも、日々変化する子供達の心身の成長や変化にも気づくことができるのではないでしょうか。
食事を通して天地一切のものへの感謝
生長の家白鳩会総裁・谷口純子先生は『平和のレシピ』に、次のようにお書きくださっております。
多くの日本人にとって、食事をすることは“当たり前”かもしれない。が、世界では、それが“当たり前”でない人は沢山いる。それを想い、食事がいただけることは“ありがたい”と知り、合掌し、感謝の思いでいただく。その時、目の前の食材が自分以外の多くの人々の手を経てここにあるという事実を思い起こそう。そして、それらの人々の知恵と労働に感謝しつつ、ゆっくり味わって食べる。すると、きっと心は満たされる。そんな感謝を込めた食事を続けていくと、きっと精神の安定が得られ、ストレスの少ない生活が実現するに違いない。(179頁)
日本では昔から食前に「いただきます」と、自分の生命の糧のために天地一切の恵みを頂く事に手を合わせ、食後には「ご馳走さま」と、食材や自然界への感謝、食事のために駆け回ってもてなして下さった事に感謝する美しい礼儀作法があります。単に物質をいただくのではなく、私たちを生かそう生かそうとする、神さまの無限の愛が天地の万物を通して現れた賜(たまもの)として受け取り、感謝して無駄にせずにいただく、素晴らしい食事の習慣を、次代を担う子ども達にも伝えていきたいと思います。また、そのような感謝の心で調理すれば、炊事の時間も尊い祈りの時間となり、その思いは家族に伝わり、いただいた食事が家族の元気や活力のもとになります。
食卓にノーミート料理を
「私たちは何のために食事をするのでしょう?」と、聞かれたら皆様は何と答えますか?「生きるため」・・・誰もが生命維持のためと答えますが、生長の家の食事の神示に、「食事は自己に宿る神に供え物を献ずる、最も厳粛な儀式である」と示されています。
生長の家白鳩会総裁・谷口純子先生は、御著書『平和のレシピ』で、次のように分かりやすくお書き下さっております。
「人間が神の子である」というのが、生長の家の根本真理です。その神の子の使命、生きる目的は神の御心を顕現すること―すなわち神の善をこの現象界、現実の世界に表現することです。そのために私たちは、肉体をもってこの世界に生まれてきました。目的をかなえるためには、表現の道具である肉体が健康でなくてはなりません。肉体は人間自身ではなく、肉体の奥に宿る霊的実在が人間です。霊的実在である神の子人間の目的を達するための道具としての肉体は、「神の宮」とも言われます。その「神の宮」が素晴らしい働きをして、神の子本来の使命を果たすために機能することが、肉体をもっていることのそもそもの意味です。だから神示には、「食事は自己に宿る神に供え物を献ずる最も厳粛な儀式である」と示されているのです。(226頁~227頁)
私たちは、毎日食事をしますが、何を、どのようにして作られたものをいただくことが「神の宮」である神の子の食事にとってふさわしいのでしょう。
今では、肉食をすることは当たり前になっていますが、
生長の家白鳩会総裁・谷口純子先生は前出の御著書『平和のレシピ』に、次のようにお示し下さっております。
肉食の弊害について、まとめると次のようになります。
① 同じ人類の食料を奪う
② 動物の命を奪うすなわち殺生
③ 放牧用地のために森林が破壊される
④ 動物のし尿などによる環境汚染
⑤ 世界を豊かな人と貧しい人に分断し、人々に憎悪、不平等の思いをつのらせる
⑥ メタン排出による地球温暖化このように、肉食は幸福を求め、世界の平和を願っている私たちの理想とはかけ離れたものを生み出すことがお分かりになったと思います。(233頁)
現在の世界では食べ物は豊かに流通しています。経済が豊かになってくると、多くの国々で、人々の食生活は野菜や穀類の消費から肉の消費に替わっていきます。そうすると、何が起こるかというと、大量のウシやブタを飼うために広大な土地や飼料が必要となります。現在、世界では約8億5000万、9人に1人が飢餓に苦しみ、貧しい発展途上の国では5歳未満で餓死する子どもが、年間500万人もいると言われていますが、世界の穀物の3分の1以上が動物の餌になっており、結果として飢餓に苦しむ人々の穀物を奪うことになっています。そして結局、それらは、豊かな国の人々の口に入っています。地球温暖化によって、気候変動が起っているため、穀物の生産量は増えていませんから、貧しい国の人々はさらに飢えに苦しむことになります。そしてその放牧地や飼料を作るための土地の確保のための森林破壊は地球温暖化をますます進行させるばかりでなく、生物多様性に満ちた熱帯雨林を消滅させています。また、食肉産業から排出されるCO2の量は全体の51%に上るということですから、肉食は、人間や環境に大きな影響を及ぼすことがわかります。また健康面でも、肉食をするということは、間接的に動物を病気にさせないために投与される大量の薬や屠殺時の動物の悲しみや憤りが含まれた血を体に取り込むことにもなります。
「神の子」を現し出すための食事において「肉を食べたい」という欲望と習慣に身を任すのではなく、肉食を出来るだけ控えて、私達の心の中にある良い思いを現しだすノーミートの食事の選択をしていくことをおすすめしています。
平和のためにできること
生長の家総裁・谷口雅宣先生は、御著書『生長の家ってどんな教え?』で、次のようにお示し下さっております。
地球環境問題や戦争などの大きな問題は、我々が今までのライフスタイルを変えないでいて、何かが変わると思うのは間違いなんです。(中略)
「自分は日本の片隅にいるから関係ない」と思っているかもしれないけれども、化石燃料を大量に消費する現在の文明を支えているのが我々です。
家畜が食べる穀物を育てるために、石油を原料とする化学肥料が大量に使われます。「他人や他の生物を犠牲にして栄えよう」という我々の心が巡り巡って、こういう問題に結びついている。そういう反省の上から生長の家では肉食の削減に取り組んでいるのです。(236頁~237頁)
他の国の人々や自然の破壊、他のいきもののいのちを犠牲にして、肉食を続けて、欲望を満足させる食事ではなく、肉食を控え、愛と調和に満ちた食卓から世界の平和に貢献できます。台所を預かる母親がこれらを知り、食のライフスタイルを変える事によって、食卓から平和へと貢献できることは尊い愛行です。そこに食事の深い意義が生きてくるのですね。
すべてのいのちに感謝していただくノーミートの食事は大きな愛の行いとなって家族の人生にしあわせを運んでくれるはずです。
●子育ての中の「食」の大切さを伝える
-心を込めてノーミート料理をつくってみる-
ノーミート料理は、お肉を使わずにつくる料理ですが、お肉を使わなくても、おいしくて充分に満足できるお料理やCO2を排出しない地元の食材を使った、環境に優しいお料理ができます。
家族が好きな肉食の習慣をすぐに変えることは難しいかもしれませんが、「肉食の弊害」を伝え、
あせらず、あきらめずに家族が喜んでくれそうなメニューを工夫して、作ってみましょう。
生長の家白鳩会総裁・谷口純子先生著『おいしいノーミート 四季の恵み弁当』
普及誌『白鳩』“森の中のオフィス”食堂レシピ、『日時計24』SPICE UP YOUR LIFE、また宗教法人「生長の家」発行の『おすすめします-食卓にノーミート料理を』のレシピ集など参考に是非つくってみてください。
★やってみましょう-『日時計日記』を書きましょう-
親子でノーミート料理を作ってみましょう
育ち盛りでお肉大好きな小六と中二の男の子を持つKさん、家族全員が大好きな「ハヤシライス」を肉抜きの「珍ハヤシライス」に!大きいちくわの中にポテトサラダを詰め込みカラリとあげて一口大にカット、ハヤシソースをかけて完成です。ポテトサラダは子供たちが学校の調理実習で体験済みです。「ウン、いける」「今度はカレー!」「でも、なんで肉抜きなの?」ウェブサイトの母親教室で、学んだばかりのノーミート料理について、熱っぽく語る食後になりました。
さて、今月の普及誌「白鳩No.79」も大変参考になりますので、併せてごらんください。また、全国で開催されています生長の家の「母親教室」へのご参加を心よりお待ちしています。