3月のテーマ
・家族で環境問題を考える
・子どもの未来のために
テキスト『生長の家ってどんな教え?』谷口雅宣先生著
『平和のレシピ』谷口純子先生著
少しずつ春らしい光を感じるようになりました。寒い冬を乗り越えた木々の枝に目をむけると、新しい芽がふくらんでいます。
三月は、卒業式のシーズンですね。また新しい出発に希望をふくらませている子どもの成長をともに感動し喜べることの有難さに感謝したいですね。
忘れることのできない2011年3月11日に起こった、東日本大震災から5年が経ちました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、神・自然・人間の大調和のうちに復興が進みますことを祈念するとともに、そのとき感じた「当たり前」の有難さを忘れないように過ごしたいものです。今月は、「家族で環境問題を考える」「子どもの未来のために」です。
◇自然破壊と地球温暖化
私たちは、誰もが幸せになりたい、また子どもたちの未来が明るいものであってほしいと思います。そして貧困や戦争などのない、緑豊かな美しい地球で、平和で豊かに暮らしたいという思いは世界中の人々の願いだと思います。
私達は今日まで、誰もが、地球は未来に向かっても永遠に変わることなくあり続けることを信じ、科学技術を発達させ、化石燃料をドンドン使い、経済が発展すれば人間は幸福になると信じてきました。ですが「もっと豊かに」「もっと便利に」と物の豊かさばかりを追求し、その使い方はあまりに過剰です。それが今日の自然破壊と地球温暖化の問題を生み出し、二酸化炭素の大量排出となり、その影響はここ数年の猛暑や豪雨にも表れ始め、このままでは地球自体がこのままあり続けるかどうかも危ぶまれています。
物質的な豊かさは、ともすれば物やエネルギーを浪費する生き方につながり「もっと欲しい」「まだ足りない」といつも誰かと比べたり、失う恐れや、もっともっとという欲望や精神的飢餓感を募らせます。今は、日本だけでなく、世界中の人たちが経済発展を追求していて、実際に経済が発展しつつありますが、それは、エネルギーを大量に消費しますから、世界の人口が70億を超えた現代において、その需要を満たすためには、さらに自然破壊や原発が増える可能性があります。
◇自然と調和した生き方の道へ
生長の家白鳩会総裁・谷口純子先生は御著書『平和のレシピ』に次のようにお書きくださっています。
2011年3月11日の福島第一原子力発電所の爆発事故から、一年数ヶ月が過ぎていた。発電所から三〇キロ以内の住人は取るものもとりあえず避難を余儀なくされた。現在でも避難生活は続いていて、家へ帰りたくても帰れない、厳しくつらい状況に置かれている人も多い。長年慣れ親しみ、人生のあらゆる思い出が詰まった故郷を後にしなければならなかったのだ。故郷がなくなったわけではない。現にそこにあるのに、目に見えない放射線が人を近づけさせないのだ。(中略)
その後、原子力利用をめぐる国の方針はいまだはっきりせず、業界団体の力に負けて少しずつ元に戻ってしまいそうに見える。あのとき大半の国民は、原子力発電所の本当の怖さを知り、原子力に頼らない国づくりを願ったのではなかったか。
「のど元過ぎれば熱さ忘れる」とよく言われるように、時がたてば、過去の大切な教訓を人間は忘れやすい。が、自分や子孫の命にかかわることを、目先の経済優先で忘れ去っていいはずがない。(133~135頁)
小さな子どもをもつ母親やこれから母親になろうとしている人にとっては、子どもたちの健康に影響がないか等、放射能に対する不安は格別だと思います。
原子力の利用は、未来に向かって予測不可能な事故や、核兵器の拡散、廃棄することなど到底できない廃棄物処理の難しさがあります。私たちが目にすることができるのは、数十年のことですが、その先にどんな変化が起こるか、次の世代にどんな影響を及ぼすかは今の段階では、わからないことばかりです。子どもや孫たちが生きる次世代に何ができるのか、物質的豊かさを第一にしてきたこれまでのやり方を見直す大切な時期にきているのではないでしょうか。
生長の家総裁・谷口雅宣先生は、ご著書『生長の家ってどんな教え?』に、次のようにお書きくださっています。
しかし、「地球」という宇宙でもまれなこの惑星は、自分の周りに「大気圏」という特殊な防護膜を作っている。そこには、地球でなければ見られない独特の原子の組み合わせからなる「大気」があって、地球上の生物はそれに護られて生きている。では、その大気を誰が作っているかというと、それは動物と植物、そして菌類なんです。人類が地上に現れてくるはるか以前から、人間以外の生物種が協力してこの特殊な「大気」という防護膜を作り上げてくれたおかげで、人類の現在はあるわけです。大気圏から一歩外へ出れば、周りからたくさん降り注いでいる宇宙線があるけれども、これをカットする独自のシステムを人類以前の生物が作り上げてくれたのです。
これは、地球の自然界の〝傑作〟の一つです。そのおかげで私たち人類は今、生きることができるにもかかわらず、これを取り除いてしまうのに等しいことを人類はやってきて、これからもやろうと言っているわけです。そういう意味では、隣町に原発を造るのも、隣国に原発ができるのも効果としては同じです。今は確かに、その危険物は鋼鉄製の容器やコンクリートの擁壁に二重三重に包まれているかもしれないけれど、そんな〝反地球的〟なものを我々の近くへ持ってくるのは、大気圏を破壊する準備に近い。(226~227頁)
私たちは、空気を吸って生きていけますが、空気を含むこの大気は、人類が地上に現れてくるはるか以前から、何十万年、何百万年もかけて人間以外の生物種が協力して、この特殊な「大気」という防護膜を作り上げてくれました。そのおかげで、今ここに私たちは生活しています。そして今もなお、圧倒的な愛によって、森は酸素を生み出し、生物を養い、海を豊かにしてくれているにもかかわらず、人間本位に樹木を大量に伐採し、燃やし、それでも足りずに、大昔の植物であった石炭を地下から掘りだして燃やし、また、石油を燃やし続け、地球の大気の流れは変わり、多くの生物種を絶滅の危機に追いやっています。
自然界は、多種多様な生物が存在することで、バランスが維持され、お互いに与え合い結ばれていますから、一つの生物種がなくなると全体のバランスが崩れはじめます。現代に生きる私達が生きていくために、本当に大切なもの、本当の幸福は「自然との大調和の中にある」ことに気づく必要があります。
◇持続可能な社会をつくるために
緑豊かな、この国で生まれた私たちは、世界においても特別に恵まれた国に生かされているのではないでしょうか。不足なものを数えあげれば、きりがありませんが、水道をひねればきれいな水をいつでも飲むことが出来、暖かい布団でやすむことができ、子どもは学校で学ぶことができ、本やテレビも自由にみることもできます。そのようなことは、当たり前のこととして、その有り難さに気づくこともないかもしれません。故郷があるということも、毎日、朝が訪れるということも、私たちにどんなにか、精神的安心感をもたらしていることでしょう。美しい自然の営みの中にこそ、本当の豊かさがあり、それは人の心を癒やし、子どもの成長を優しく包んでくれるものです。この自然界が当たり前に動いていることは、感謝してもしきれないほど奇跡的なことかもしれません。
私たちは日々の生活の中で、効率優先に生活していることが多く、ものを素直に見たり、聴いたり、感じたりすることを忘れがちです。是非、お子さんと一緒に、自然との触れ合いを心がけ、自然の美しさや神秘さを感じてみてください。子どもの頃、自然の中で遊んで感じた記憶は、自然を大切にする持続可能な社会をつくるための大切な感性を育んでいきます。
◇地球に優しいエネルギーを応援しましょう
地球環境問題は、地球レベルのことですから、一見問題が大きすぎてとても、個人の力ではどうにもならないと思われるかもしれませんが、こんな例があります。
デンマークでは、家電製品には値段とともに、省エネ効果を示す「エネルギー・ラベル」というラベルを貼るそうです。その「エネルギー・ラベル」はA、B、C、Dと4段階に分かれていて、値段と電力消費量が反比例する関係になっています。つまり、ラベルAの製品は、値段はやや高いが電力消費量は少なく、逆にラベルDの製品は、値段は安いが電力消費量は多いことを意味します。
当初はCやDのラベルの製品(安い製品)が売れたそうですが、だんだんAやBのラベルの製品(電力消費量が少ない製品)が売れるようになりました。それは、消費者がエネルギー問題について真剣に考えるようになり、それにつれて、やがてAやBのラベルの製品が量的にもたくさん売れるようになりました。
すると、量産効果でAのラベルの製品の価格が次第に下がり、エネルギー効率に加えて価格競争力まで強くなってきます。一方、Dのラベルの製品は、大量生産で低価格を設定していたのが、次第にそうはいかなくなり、結局、Aのラベルの製品のほうが、Dのラベルの製品より価格も安くなってしまいます。こうして、自覚を深めた消費者の選択によって、環境に良い製品が、環境に悪い製品を駆逐してしまったのでした。
このように私たち一人ひとりが日々、何に価値をおいて、選択していくかで、未来の社会を変えていく力を持っているのです。特にいのちをうみ育てる女性であるわたしたちは、同じ思いで結び合い、大きな力で社会を動かすことができると思うのです。
生長の家白鳩会総裁・谷口純子先生はまた、御著書『平和のレシピ』に次のようにお書きくださっています。
もう一つ分かったことは、自分たちの暮らしを支えるエネルギーが、「福島」という遠方の地のリスクの上に得られていたことだ。リスクはゼロでなく実際、大勢の人々の故郷と生活の場が失われたし、回復はいつになるか分からない。
便利や効率優先の、自己中心的自分ではなく、人々とつながっている自分。人に手を差し伸べることのできる自分。そこに人生の価値があり、喜びがあり、心の安らぎがあることを意識して暮らしていきたい。(143~144頁)
2016年4月から電力販売が全面自由化されることから、購入する電力がどのようなプロセスで発電されているのかを考慮し、できるだけ環境負荷が少ない再生可能の自然エネルギー(原発を除く、太陽光、水力、風力、地熱)を電源とする電力を選択して、地球生命に優しい電力を応援し、選択されることをおすすめします。
生長の家は、人類社会が、自然エネルギーを全面的に利用することで、「脱原発」と「地球温暖化の抑制」を実現し、次世代に「負の遺産」を残さない、自然と人間がより調和した生き方が可能であると考え、京都府城陽市にメガソーラー太陽光発電所、福島県西郷村に大規模ソーラー発電所を建設し、稼働を始めています。
日本人は、昔から生活の中で、物を大切にして、有機物も無機物もあらゆるものの中に魂が宿っていると考え、感謝して使う文化を持っていました。その心を取り戻し、ものを大切に、すでに与えられているものに感謝する日時計主義のものの見方、生き方が多くの人々の間に広がっていけば、物やエネルギーを浪費する生き方ではなく、もっと自然と調和した生き方の道へ進んで行くことができると信じます。
「今月のやってみましょう」は
「世界平和の祈り」をしましょう です。
〝神の無限の愛 我に流れ入り給いて、我において愛の霊光燦然と輝き給う
その光いよいよ輝きを増して全地上を覆い給い、全ての人々の心に、愛と平和と
秩序と中心帰一の真理を満たし給う〟
さて、今月の普及誌「白鳩No.73」も大変参考になりますので、併せてごらんください。また、全国で開催されています生長の家の「母親教室」へのご参加を心よりお待ちしています。