2015.03
★テキスト
『次世代への決断―宗教者が”脱原発”を決めた理由』 谷口雅宣先生著
『”森の中”へ行く』 谷口雅宣先生・谷口純子先生著
『一番大切なもの』 谷口清超先生著
三月を別名弥生(やよい)と言います。八百万(やおよろず)=万物が生き生きと新生する月だからです。北国は深い雪に覆われ、春はまだまだ遠い先に思えますが、大自然の営みは、豪雪の下にも、凍てつく氷の下にも、春の準備を確実に進めているようです。又、小中高生にとって唯一宿題が全く無い「春休み」こそ、進学・進級の喜びと、心からの「春」を満喫出来る三月弥生なのです。
今月のテーマは「家族で環境問題を考える―子どもの未来のために」です。人生と社会の節目になる三月は、少し目線を伸ばして地球の事、自然環境の事、子どもの未来に何が大切なのかを考えてみましょう。
予報士を悩ませる異常気象が!
前も見えないほどの猛烈な雪の予報が雨に、吐く息が凍りそうな寒さが春のポカポカ陽気に、ビックリするような予報ハズレの連続です。気象衛星の能力が向上しても、明日の予報と外れた結果に悩む、予報士泣かせの異常気象が続いています。
母親教室でも、毎回必ず環境問題を取り上げて、考える機会や提言を続けていますが、その深刻さは更に速度を増しているようです。大気中の二酸化炭素―温室効果ガス―地球温暖化―自然と生態系の破壊―地球の寿命に繋がる方程式について今こそ真剣に考える時です。なぜなら私たちの日々の生活も、ささやかな幸せも、全ては地球があってこそ成り立つのですから―
生長の家総裁の谷口雅宣先生は、御著書『次世代への決断』の中で、次のようにお示し下さっております。
私たちは、空気に含まれる酸素の割合が減ってくるだけで、すぐに病気になってしまう。それを「高山病」といいますね。酸素は自然界の植物が生み出しているものですから、私たちはこの自然界とまさに一体であり、その一部であることが分かる。そのことに感謝して生きていくのが本来の人間の生活法であったのが、いつの間にか変わりまして、人間は科学的技術の力で何でもできるから、自然を道具として、自分たちだけが発展できればよろしい―そういう考えによる
文明が進んできているところに、大きな問題があると思うのであります。 (155頁)
戦後も70年経ち、貧しい焼け野原から、世界の経済大国に進化発展した日本、「もっと豊かに」「もっと便利に」のコトバと共に、ビルの林が建ち並び、本物の森や林は、その陰に消えていきました。確かに便利で物は豊かにあふれ快適な生活をしていますが、その豊かさは、自然が生み出してくれたものだということを忘れてしまっているように、人間の都合だけを考え、自然を破壊してきました。それが、本当のしあわせにつながるでしょうか?
未来の子ども達に豊かな美しい自然を
生長の家前総裁・谷口清超先生は御著書『一番大切なもの』に、このように書かれております。
日本内地のブナ林も年々消え去って行き、“開発”されているが、一見文明化と見えるこの外観は、実は地球の死滅を弔う行進でもある。さらにえぞ鹿やかも鹿も次々に殺され、動物たちは次第にその棲家を失い、人間もまたやがてその後を追うことになろうとしているのである。
(228頁)
人間の呼吸は、酸素を吸って二酸化炭素を吐き出します。森林は二酸化炭素を吸って酸素を吐き出します。私たちが「酸素不足」の心配をせずに、一生涯呼吸するには、植物と人間との秩序正しい生態系の営みと、豊かな緑や森が必要不可欠になります。森は酸素を生み出し、生物を養い、水を蓄え、海を豊かにしてくれています。言い換えると人間は「大自然に生かされている」という事なのです。先祖から受け継いできたこの美しい地球、今を生きる私たち親世代も、未来の子ども達の為に、豊かな美しい自然、酸素がいっぱいの地球を残す使命があるのです。
「平和・環境・資源」を考える生き方
生長の家は、宗教界で初めてISO14001(環境マネジメントシステムの国際規格)を取得し、環境保全運動に取り組んでいます。国際本部も、大都会東京の一大繁華街「原宿」から、山梨県北杜市の八ヶ岳山麓の“森の中のオフィス”へと、移転しました。太陽光発電や自然エネルギーによる生活へ、出来るだけCO2を排出しない社会へ、他の命を奪わないノーミート食生活の勧め、個人のエゴを捨て、自国のエゴを放し、世界の「平和」と「環境」と「資源」を考える生き方への発信地こそが「森の中のオフィス」なのです。
谷口雅宣総裁先生は、この生長の家の運動について『”森の中”へ行く』で次のように、明確にお教えて下さっています。
生長の家は、昭和五年の立教以来、“天地の万物に感謝せよ”との教えにもとづき、全人類に万物を神の生命、仏の生命と拝む生き方をひろめてきた。生長の家は、この宗教心を広く伝えると共に、現代的な意味での宗教生活の実践として環境問題に取り組み、あらゆるメディアと活動を通して地球環境保全に貢献し、未来に“美しい地球”を残さんとするものである。
(229頁~230頁)
天地万物とは、人間はもちろん、他の生物や自然界すべてを意味します。自然界は、すべてが与え合い生かし合い、かかわりあいながら発展していくように調和しているのが本当の姿です。
人間もその自然の一部であり、すべては、神さまの生命において一体であるということを感じながら、すべての生命を礼拝し感謝するという生き方です。
自然を破壊し、奪ったり、傷つけたり浪費したり、捨てたりする欲望を追求するライフスタイルは、地球環境だけでなく、食料や資源の奪い合いにもつながり、世界の平和と密接な関係にあります。
そこで、すべてのいのちを礼拝する生き方の実践として、肉食を避け、自然を破壊しないライフスタイルに切り変えることが大切なのです。
これから、春を迎えると、木々の芽吹や、大地の恵み、川の流れ、空の青さ、花々の美しさ、何気ない自然の営みの中に神様の無限の愛が充ち満ちていることに気がつくのではないでしょうか?
そんな自然に生かされている喜びに目を振り向けてみると、すべては大自然の愛の現れであること、いのちはひとつに繋がっていることを感じます。そんな感謝の心で考え、語り、行動していくことが子供たちの未来を明るいものに導いていくと思います。
物の豊かさと便利さばかりを求めるライフスタイルから、すべてのいのちを礼拝し“美しい地球”を未来に残すライフスタイルへ、この春休み家族でぜひ「平和・環境・資源」について話し合ってみてはいかがでしょう?
○今月のやってみましょう
新年を迎えた二月、テロ集団「イスラム国」によって、「日本人二人の尊い命が失われる」というショッキングなニュースが、まだ記憶に新しい中で、東欧のウクライナでは再び戦火が激しくなって来たようです。漆黒の宇宙空間に浮かぶエメラルド色の美しい地球・・・その何処に、恐ろしい戦争、悲しい飢餓、自然破壊等が感じられるでしょう?
私達は今こそ神さまの愛に充ち満ちた素晴らしい世界を心に描き、そこに住まわせて頂く感謝をこめて「世界平和の祈り」を致しましょう!
“神の無限の愛 我に流れ入り給い 我において愛の霊光 燦然と輝き給う
その光いよいよ輝きを増して全地上を覆い給い 全ての人類の心に
愛と平和と秩序と中心帰一の真理を 満たし給う”
なぜ今、月に一度の一汁一飯を?
生長の家国際本部が、山梨県北杜市の「森の中のオフィス」に移って二度目の春を迎えます。
オフィスでは月一度の昼食を、一汁一飯(150グラムのご飯と、わずかな具だけの味噌汁)にしています。スーパーやデパ地下には、溢れるほどの食料品が並び、ファミレスの閉店後に大量の食べ残しが、ゴミとして捨てられる豊か過ぎる現在の日本です。なぜ今、月に一度の一汁一飯の昼食をするのでしょう。それは今、この同じ地球の何処かで、飢えで苦しんで亡くなる幼い命や、5歳までも生きられない尊い命が、年間500万人も居る現実に心を寄せる為なのです。
万物が新生する三月、親子で命の尊さを思い、語り、考えるテーマとして、皆様のご家庭でも「月に一度の一汁一飯」の実践を、してみませんか?