弊社と公益財団法人生長の家社会事業団(以下社会事業団)並びに株式会社光明思想社との訴訟、「平成25年(ワ)第4710号著作物利用権確認請求事件」に対する地裁判決が平成26年2月7日、東京地裁民事第29部で行われ、遺憾ながら弊社の主張が受け入れられませんでした。その判決書を精査しましたが、著しく公平を欠き、事実認識を誤り、審理不充分であるため、平成26年2月20日、東京知的財産高等裁判所に控訴しました。
本件訴訟は、弊社が戦前から一貫して刊行して参りました、谷口雅春先生の代表的な著書『生命の實相』や『甘露の法雨』等について、出版使用許諾契約に基づく著作物利用権が存続していることの確認を求めたものであります。
本件訴訟の発端は、平成21年1月13日に、社会事業団が当社に対して、昭和57年当社発行の革表紙『生命の實相』復刻版の印税の一部の支払いを請求して参りました。しかし、当該印税は著者谷口雅春先生のご指示に基き、谷口雅春先生並びにご逝去後はそのご遺族に支払い済みであり、社会事業団に支払う理由も根拠もないことから、お断りしました。それを不服として社会事業団は、平成21年2月27日東京地裁民事第46部に支払いを求める訴訟を起こし、以来4年余にわたって高裁、最高裁まで本件が審理されましたが、遺憾ながら当方の主張は入れられず、時効分を除く金50万円の支払いが確定しました。また、『生命の實相』等の著作権の帰属も社会事業団にあると認定されました。
上記印税の不払いにより、弊社と社会事業団との間の信頼関係は毀損されたとして、社会事業団は『生命の實相』や『甘露の法雨』等の出版使用許諾契約の更新拒絶の有効性を主張して当該書籍群の当社からの出版を差し止めています。しかし、以下の如く、その主張は、長年の相互信頼の下に継続された契約を拒絶する理由とはなり得ないものでありますので、上記著作群について著作物利用権の確認を求めているものであります。
弊社の立論の根拠は、2点に集約されます。第1点は、本件の発端となった革表紙『生命の實相』復刻版発行当時は、谷口雅春先生は勿論のこと、弊社も社会事業団も関係者全員が当該書籍の著作権は谷口雅春先生にあるとの認識を共有していた事実です。当該書籍の印税支払い請求があったのは平成21年1月13日であり、本書発行後27年経過した時点であり、それまで一度たりとも社会事業団から請求がなかったという事実です。たとえ、事後的な裁判の判断として、復刻版の印税を社会事業団に支払う法的義務があると認められたとしても、これまで、関係者全員が支払いの義務がないとの認識を共有していたのです。そのような状況において、金50万円の印税を支払わなかったことを理由に、60年以上継続されてきた出版契約の更新を一方的に拒否するのは民法上の信義側に悖る行為であると弊社は信じています。
第2点は、『生命の實相』の著作者である谷口雅春先生が昭和60年6月17日に逝去された後、谷口雅春先生が社会事業団を昭和21年1月8日に設立された以降社会事業団に長年にわたって多くの著書の印税を寄付されてきましたので、その内どの書籍の著作権を寄付されたのかを明確にするために相続人となられたご遺族と社会事業団との間で1点1点明確に確認した上で作成されたのが昭和63年3月22日付確認書です。その確認書には争点となっている革表紙『生命の實相』復刻版は含まれていないのです。その上、ご遺族の作成された著作物の遺産目録には革表紙『生命の實相』復刻版が明記されているのです。こうした事から、弊社は、革表紙『生命の實相』復刻版の著作権は谷口雅春先生に帰属しているとの認識の下に谷口雅春先生ご逝去後は復刻版の印税をそのご遺族にお支払いしてきました。そう信じるに足るこのような明確な根拠の主張に対して、東京地裁は一顧だに与えず、審理の対象にすらしておりませんので、弊社はこの点について、原審において既に詳細な主張をしてきましたが、原判決後の調査により新たに発見した証拠資料等に基づき、高裁に於いて公平な判断を仰いでいるところです。
弊社に対して日頃からご支援ご理解を頂いている多くの方々に、ご心配とご迷惑をおかけしていることを心からお詫び申し上げますとともに、差止状態となっている谷口雅春先生のご著書『生命の實相』や『甘露の法雨』等の1日も早い発行を目指して鋭意取り組ませて頂いている現状をご報告させていただく次第でございます。
以上