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平和・環境・資源は三つ巴の問題

スタッフから

2022/04/10

戦争が起こらないとは考えていませんでしたが、こんなにも簡単に戦争が起こってしまうとも考えていませんでした。21世紀に入って20年が過ぎましたが、世界から戦争がなくなり、本当の意味での平和を迎える日はまだまだ先なのかと思うと残念でなりません。


私は、2005年に谷口雅宣・生長の家総裁が著された『足元から平和を』を通して、環境・資源・平和の問題は三つ巴の問題であるということを学んでから、それぞれの問題が個別に取り上げられる度に、どう繋がっているのかを意識して調べるようにしています。


今回、2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻を始め、ウクライナ危機は始まりました。国連人権事務所の声明によると、3月29日までの約1月間で確認された民間人死者は1179人、負傷者は1860人だったそうです。4月に入りウクライナ首都キーウ(キエフ)郊外のブチャでは、大勢の市民が虐殺が行われたのではないかとの報道がされており、ロシアの非人道的な軍事行動に対して、国際社会からの厳しい非難は免れませんが、この背景で環境や資源の問題はどう結びついているのでしょうか? このウクライナ危機と資源の問題をすこしみてみましょう。


ウクライナに侵攻したロシアは最大の天然ガスの輸出国(2021年)で、ヨーロッパ各国は、ロシアからウクライナ国内を通るパイプラインを経由して、天然ガスの供給を受けています。ロシアへの制裁はしなければならないが、天然ガスの供給を止められては困ります。そもそもヨーロッパでは、ここ数年脱炭素の動きにより、石炭から二酸化炭素排出量の少ない天然ガスへと移行が進んでいるため、天然ガスが枯渇すれば、電力が影響を受けることになります。まだ、供給は停止されていませんが、今後の先行きは不透明です。こうなると、ヨーロッパ各国では、原子力発電所への回帰の可能性もあるとのことです。


一方、ご承知の通り3月4日時点でロシアは、1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発を制圧したばかりか、サボリージャ原発の設備を攻撃するなど、国際法違反である原子力発電所への攻撃を行ったと報じられています。原子力発電所が攻撃にさらされれば、核兵器使用と同様の結末となります。2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故を体験した者にとっては、背筋が凍るような思いがします。今のところ爆発などが起こっていないのが、せめてもの救いですが、今後、ロシアはどんな作戦を展開するのか気が気でなりません。


このように見てみると、安全保障とエネルギーの問題は深く、複雑に絡み合っていることがよく分かります。

そして、戦争という手段は問題の解決にはならないばかりか、戦闘によって大勢の人命が失われ、環境が大きく破壊されることにも繋がってしまうのです。

今回のように戦争は、ごく限られた独裁的為政者たちの誤った判断で起こってしまうこともあるものですが、私たちと無関係に起こるのかというとそうではないと思います。例えば、化石燃料やウランなどの地下資源の利用から太陽光や風力などの再生可能エネルギーへと転換させることは、環境問題の解決方法として理解されることが多いと思いますが、資源が眠る土地を奪い合う争いを避けることに繋がります。


少し話しは変わりますが、4月1日から「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ法)」が施行されましたが、限られた資源である化石燃料を原料に作られるプラスチックを使い捨てせず、循環させるのは、再生可能エネルギーへの転換と同様、資源の奪い合いを避けることにつながります。ですから、生長の家国際本部では、今年末までに書類を挟んで使う「A4クリアファイル(クリアホルダー)」を紙製のものに切り替えることになりました。


このように、私たちの日常生活における小さな選択(それが積み重なって生活スタイルになります)が、世界の平和と繋がっているので、生長の家では省資源、低炭素で自然を重視する生活スタイルを家庭菜園、自転車、手づくりという3つの切り口から提案しており、今回のウクライナ危機に際してもウクライナへの緊急支援募金の実施とウクライナ支援イベント「P4U――ウクライナに平和を」の活動の実施を行っています(詳細はこちらから)

最後に、あらためてウクライナでの戦闘が一日も早く終息し、世界に平和が訪れますようお祈りするとともに、共通の思いをもつ方達と共に、小さくはあっても平和の実現に繋がるよう意識しながら行動して参りたいと思います。

(環境共生部 大平 收一)