【実録レポート】初挑戦!山梨県産ヒノキ丸太で橋を手づくりしてみた

 生長の家国際本部”森の中のオフィス”の敷地には、いくつかの小川が流れています。

 今回はそのひとつの小川(幅約1.5m・深さ40㎝程)にかけた、手づくりの橋について材料や作業内容をレポートします。

                                    


橋の手づくりに挑戦!作業を紹介

(1)設計

 橋体は丸太橋です。橋桁に丸太を挟み込むようにして敷き詰めて路面をつくり、同じサイズの丸太で地面に杭打ちをして固定します。


(2)材料の紹介

 今回使用した木材は地元・山梨県産のヒノキで、同県南アルプス市にある、山梨県木材製品流通センター協同組合(木の国サイト)より足場用の丸太を30本、杭用4本、橋桁に4本の木材を仕入れました。同組合は、「がんばろう!県産材」を合言葉に、地域工務店との連携もしています。

地元・山梨県産のヒノキ

 塗料は植物由来のオスモカラー(ドイツ製)で、“森の中のオフィス”の外壁塗装に使用したものを今回分けてもらいました。


(3)下準備

 橋が傾かないよう安定した足場を作るため、地均しをしました。自生していた細い樹木を根っこから切断して取り除き、大きな石は移動し、形のよい石は安定した足場となるよう利用しました。

小川に草木が生い茂る
幅約1.5m・深さ40㎝ほどの小川

 丸太はボルトやナットを使用して固定します。組み上げの時の作業がスムーズに進むよう、予めボルトが必要になる箇所に穴を開けました。また橋を小川に固定するために、使用する丸太は先端を杭状に加工しました。

 また大きなカケヤで打ち込む時に、丸太が割れる可能性があるため、端材を利用して杭打ちキャップを作りました。


(4)手づくりの作業台

 38本の丸太に塗装をしてから組み立て作業をするため、塗りやすく、かつ乾きやすくなるよう専用の作業台も手づくりしました。


(5)橋づくりイベント

 今回、塗装や組み立ての作業はイベントを兼ねて実施し、晴天の中13名が参加しました。


 塗装班は作業場所に塗料が滴り落ち汚れないよう、足下に養生シートを張りました。塗料には伸びがあり、刷毛の先に少々つけるだけでもよく塗ることができます。この日のために作られた作業台もあって、効率よく塗り進めることが出来ました。そして設置場所まで運び、組み立て始めました。


 組み立て班は運ばれてきた丸太を組み立てていきます。図面を確認しつつ、小川に3mの丸太4本を2本づつにしてかけ、前後左右のバランスをみます。次に30本の丸太が橋の路面となるよう、横に敷き詰めていきながらボルト・ナットで締め込みます。橋の型が出来上がったら、杭状に加工した丸太を使って小川に固定します。ここでカケヤを使用しますが、木材が破損しないよう杭打ちキャップを用意して打ち込んだので、綺麗に仕上がりました。

 規模からしたら小さな橋かも知れませんが、現場状況に応じ身を処しながら作業することや、道具の使い方や注意点、例えば大きなカケヤを使う際は周囲への注意が必要など意識が広がったと思いました。


(6)仕上げ

 後日、いよいよ総仕上げです! 組み立て作業中についてしまった足跡を高圧洗浄機できれいに落としてから1日乾かし、総仕上げでオスモカラーを再度塗りました。

 下準備も含めてかかった日数は約7日間。作業に関わった一人一人の力が結集した素晴らしい橋が出来上がりました。

木製の手づくり橋が完成

                                    

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現在生長の家国際本部”森の中のオフィス”見学は中止しておりますが、終息し再開した暁には、ぜひお越しいただき、渡ってみてください。(要予約:代表番号 0551-45-7777)

                                   

(SNIクラフト倶楽部・尾身和洋)

「こもれび アナザーストーリー」Vol.1

作品名『八ヶ岳ブックスタンド』 作者:暁工房

――今回、お話いただいたのは、ブックスタンドを八ヶ岳に見立てて製作された暁工房さん。
八ヶ岳、といえば山梨・長野両県へまたがる日本百名山の一つです。
そんな八ヶ岳をブックスタンドのモチーフにした経緯や、木工作品を得意とする暁工房さんならではのお話をどうぞお楽しみください。


作品ストーリー

どのようなきっかけで、この作品をつくろうと思いましたか?

5~6年前に「木」という素材で “自分で簡単につくれる・人のお役に立つものを” という発想から「ブックエンド」をつくるようになりました。

はじめは「コの字型」のシンプルなデザインでした。2個のブックエンドの間に大小さまざまな書籍を挟んで並べてみると、そのありさまが八ヶ岳の山々のように見え…それが『八ヶ岳ブックスタンド』のアイデアにつながりました。

――何気ない日常に、アイデアがあったとは、すてきな話です^^


材料のポイント

材料を探すときの基準や大切にしていることはありますか?

廃材や端材でつくるようにしています。
その方がとても表情のあるクラフト作品に仕上がり、私はとても気に入っています。

――材料はどのように仕入れていますか?

製材所が多いです。製材所だと、端材を無料でくださる場合があります。
インターネット等で地元の製材所を検索して、電話で「端材をもらえるかどうか」尋ねてみると良いです。
木造の家を解体したりしている所があれば声を掛けるのも良いですね。
ホームセンターでも端材が販売されていますが、どうしても入手できない場合は、国産材を必ず選んで購入します。
また、ときどきですが、原木や廃材を譲っていただくこともあります。

――材料ひとつとっても、さまざまな仕入れ方法があるのですね。大変参考になります。
そして、環境に配慮されているからこそ、仕入れ方法の豊富さ、考え方の柔軟さへつながっているのだろうなと思いました。

木工店で無料でもらえる端材コーナー
北杜市の製材所で無料でもらえる端材

ものづくりのスタイル

普段、どのようにクラフトを楽しんでいますか?

製作場所は、自宅の車庫が多いです。
自分でつくった木製作業台で、木工品をつくるのが最高です。
大好きなクラシック音楽を聴きながらだと、作業がもっとはかどります。

――好きな場所で、好きな音楽に囲まれてクラフトする時間。いいですね。「最高」の言葉から、楽しさが伺えます。

作品をつくるときは、「自分のためよりも、誰かのためにお役に立てないか?」を常に考えています。その方が、つくりがいもあり、喜びも大きく、時間を有効に使える実感があります。

つくる時間より、「どんな作品をつくろうか?」と考えている時間の方が長いかもしれません。(笑い)

また、自分でも簡単につくれるものはないかと、常に情報収集しています。木工サイトやSNS、雑貨店やクラフト市めぐりだけでなく、ファッション関係、スーパー、ホームセンター、レストランなど、ありとあらゆるお店にある陳列棚、小物、お店の看板などを眺めては、「木で製作できないか?」と自分に問いかけて、日々ワクワクしています。

――クラフトに対する日々の姿勢からも、クラフトへのよろこびが伝わってきます。

思うように工程が進まないこともあります。

木工製作ばかりしていると飽きてくるというか(笑い)、
そんな時は、畑仕事や部屋の片づけ、整理・整とん、薪割りと、ほかの作業も同時並行で行うことで、また新たなアイデアが浮かび、満足のいく作品に仕上がっていきます。

――日常の中にクラフトが溶け込んでいることが垣間見え、肩の力を抜いて楽しんでいいのだな~と思えるお話ですね。

自宅車庫の作業場
自分で作った作業台

失敗は成功のもと!

ずばり「失敗は成功のもと!」と思う話がありましたら教えてください。

おおよそ、つくりたい作品の絵を描いてから製図を簡単に書きますが、製図どおりに完成したことはありません。(笑い)

必ず途中で寸法が狂ったり、歪んできたりしますが、それをどうにか解決していく過程が楽しく、完成したときの喜びは一入(ひとしお)です。

私は、多少隙間が空いたり曲がったりしていても、味わい深い作品になると信じています。だから、初めから傷が入っていたり、汚れていたり、塗装が施してあるような廃材・端材を使うことが大好きになりました。
サイズがバラバラで使いづらいかもしれませんが、捨てられる予定だったものから、また新たなモノをつくり出すことが楽しく、愛着がわき、私たちの身の回りにあるどんなモノでも大切に使っていきたい気持ちが湧いてきます。

――失敗と捉えてしまいそうなことも、暁工房さんにとっては、面白さのひとつであり、味わいとして感じていらっしゃるのですね。そして、モノを大切にすることにつながっていく心の持ち方も、クラフトの醍醐味なのだと感じます。

端材で作ったアクセサリー掛け
県産の唐松材で作った階段
ナラのブックスタンド(生光展※で奨励賞を受賞)
端材で作った木箱

(※生長の家の美術公募展)


作品のここに注目

おすすめの使い方を教えてください。

一般的なブックエンドは1個で使うことが多いですが、「八ヶ岳ブックスタンド」は2個1組で使います。そして、大小さまざまな書籍をたくさん並べることによって、作品が生きてきます。

~~と、いうことで実際にやってみました^^~~

 本の大きさによるジグザグがひとつのアートになるブックスタンドとは、画期的で素晴らしいアイデアですね!色んな高さの本を並べてみたくなります。

さいごに

今回の「こもれび アナザーストーリー」はいかがでしたでしょうか?
参考になる話も多く、クラフトへの意欲がぐんぐんと湧き出てきた方もいるのではないかと思います。
私自身、作者の方へお話を伺うことで、共感したり、知らないことを知るよろこびであったり、楽しい時間となりました。
今後も展示作品を出品いただいた作者の方へお話を伺っていく予定です。
次回は、どんなアナザーストーリーを聞くことができるのでしょうか?
次回もどうぞおたのしみに~♪♪

(聞き手:SNIクラフト倶楽部・松尾富美子)


こちらの記事もあわせて読む

・2019年4月よりスタート「SNIクラフト倶楽部・展示コーナーが完成♪」

・2020年度の作品「SNIクラフト倶楽部・展示コーナーだより♪」

「音楽」を飾る

 職場ではクリスマスの頃にプレゼント交換会があり、私はCDスタンドを作りました。
 最近はCDから音楽データを取り込んだら、あとはすぐ売り払ったり、家の隅でほこりをかぶったりしている人もいますが、CDを小さな絵のように飾り、ゆっくり音楽を聴く時間を持っていただければという思いで作りました。


 材料は、同僚の方に頂いたサクラの枝と、むかしDIY用に買った板の端材で、柿渋で塗装しました。塗装をしていないサクラの枝の色と、いい感じになじんだかも。
 四隅はミニカンナで、丸みのある仕上げにしました。CDを載せると背板は正面からは見えなくなり、サクラの枝の上にCDだけが乗っているようになります。
 受け取ってくれた方は、大切に使って下さっているとのことで嬉しいです。


(田中晴夫・SNIクラフト倶楽部)

白鳩』誌No.94(2018年1月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.18」

※この記事は2017年に執筆したものです

素材探しから得られること

 私達、クラフト倶楽部のメンバーは、より自然度の高い素材を選んで、手づくりをしています。この素材を選ぶことには、ある程度の苦労が伴いますが、それと共に大きな喜びもあります。

  まず、クラフト倶楽部の活動として、より良い素材選びを簡単に表現すると

「より自然なもの、近くで出来たもの、使うことで枯渇しないもの」

といえると思います。

 すぐに思いつくのは、自然から直接分けてもらう小枝や木の実、貝殻などだと思います。森や海岸はクラフト素材の宝庫ですね。

 その一方、購入する場合は、なかなか難しく、多くの商品が並んでいても、石油由来の製品や海外で作られ輸入されているものが多いことをあらためて実感させられます。


  そのような中でも、あきらめずに探せば、パズルのピースがぴったりはまるような素晴らしい素材に出会えることがあります。そして、その“つくり手”の方々の多くは、地道だけれども、とても丁寧なお仕事をされています。


 これまで出会った“つくり手”には、山林育成のため地元木材を取り扱う製材所( * 1)、羊毛の加工と自然染色を自ら行うお店( * 2)、有機栽培された綿の織物業者( * 3)、環境にやさしい素材のみで絵の具を製造する工場( * 4)、日本ミツバチの育成をされている養蜂所( * 5)など、本当に素晴らしい方々がいらっしゃいました。

 クラフトを通してこのような方々とつながりができ、私たちの活動にも共感や賞賛の声をいただいています。

 さらに、“つくり手”の顔を知ることで、素材を大切に使う意識がわいてきます。尋ねれば、経験からのアドバイスをもらえ、作品の背景として参加者にも伝えることができますし、購入することで“つくり手”を応援することにもなります。

このように、「簡単に購入しよう」と考えていると難しく感じる素材探しですが、私達が意識を広げて求めていけば、きっとそこには、素晴らしい出会いや学びが待っていて、私達の活動が拡がっていくきっかけにもなっていくと考えています。


(SNIクラフト倶楽部 部長 吉田憲司)


*1 「樋口製材」https://higuchi-seizai.com/
*2 「アナンダ」https://www.ananda.jp/index.htm
*3 「ミュッター」http://www.mothers-mutter.com/html/newpage.html?code=32
*4 「株式会社まっち」https://match-japan.com/JP/index.html
*5 「あじわい百花蜜」http://www13.plala.or.jp/ajiwaihyakkamitu/index.html

つくる、祈る、日々の生活 No.5

環境負荷の少ない、地元産の木材を使ったモノづくり

私は、材木や端材などを使って、日常生活に役立つモノを手作りして楽しんでいます。
今回ご紹介するのは、ウッドデッキ用の階段。自然素材である木材を使うことで“環境にやさしい素材”を使うという目標はクリアできますが、もう一歩踏み込んで、同じ材木でも輸送のための燃料消費が少ない材木を選びました。

ホームセンターには安価で加工しやすい材木が並んでいます。しかし、そのほとんどは北米や北欧などから船で運ばれてきたもので、それだけ輸送のために化石燃料を使い、二酸化炭素を排出して、環境に負荷を与えているのです。
そこで、私は自宅からほど近い製材所を訪ね、国産か県産の材木で階段を作りたい旨を説明。すると、地元・八ヶ岳で伐採したカラマツ材を提案してくれました。イメージ通りに階段が出来上がっただけでなく、地元産の木材を使うことで地域の活性化につながり、温暖化対策の一助となったことも喜びになりました。
(永井 暁・SNIクラフト倶楽部)

白鳩誌No.80 2016年11月号より

木の端材から新たなモノをつくり出すよろこび

子どもの頃、自宅の物置には要らなくなった木の端材が保管されていました。
日曜大工と奉仕活動が大好きな父は、歩道の側溝のフタが腐って、歩行者がはまらないように、半年に1回、端材を利用して新しいフタにつくり替えていました。そんな父親の姿を真似て、私も一緒にフタづくりを手伝ったり、自分で整理箱や本棚などもつくりました。下手でも自分でつくったモノには愛着が湧き、いつまでも大切に使いました。

ここで紹介するのは、最近つくった木箱。長さが不揃いの端材を段違いにつぎはぎにすると、既製品にはない面白いデザインになりました。私は「木工は、隙間があっても、ゆがんでいてもいい」と思っています。廃棄処分される予定だった端材を最大限に生かして、新たなモノをつくり出すことができたよろこびの方が大きいからです。モノに宿る“いのち”に触れたような感じです。
(永井 暁・SNIクラフト倶楽部)

白鳩誌No.79 2016年10月号より