作品名『Tシャツヤーンのひもポシェット』
作者:Kiramekiyukie
―――今回お話を伺ったのは、『Tシャツヤーンのひもポシェット』を製作されたKiramekiyukieさん。日ごろ、日用品や仲間のつながりを大切にされているKiramekiyukieさんならではのお話をお聞きすることができました。どうぞお楽しみください。
作品ストーリー
どのようなきっかけで、この作品『Tシャツヤーンのひもポシェット』をつくろうと思いましたか?
道具や衣服を長く大切に使う両親に育てられたことで、専業主婦のときは手づくりやリメイクを当たり前に楽しんでいました。
4人の子どもを育てながらフルタイムで働き始めてからは、仕事の責任が重くなるにつれて早出や残業が増え、できるかぎり手づくりにこだわりつつも、その楽しさを忘れかけていました。
そんなときに「Tシャツヤーン」のことを知りました。これは、古着やTシャツ工場で出たハギレを裁断してつくられていて、エコな編み糸です。自宅にある着なくなったTシャツを、自ら切ってつくることもできます。
「Tシャツヤーン」と言っても、Tシャツだけでなく、どんな生地でも編み糸になります。不用になった衣類に新しい生命を与える絶好の機会となりました。
仕事で遅く帰っても、少しの時間でも色やデザインを考えてTシャツを選び、よく切れるハサミでザクザク切って、編み糸をつくります。同じ形に裁断しますが、同じ柄にはなりません。思い描いた通りに編み上げると、仕事で疲れた頭もスッキリして、楽しみながら元気になっています。
――仕事で疲れていても手づくりをすることでスッキリする気持ち、分かります。楽しいですよね。
編み物は好きですが、編み方は自己流です。そんな中、今回“森の中のオフィス”に展示したような「Tシャツヤーン」で手編みした作品をSNSで投稿していたら、「教えてほしい」と言われてミニイベントを開催したことがあります。しかし、私は左利きのため、右利きの方20人に教えたときは本当に困り果てました。編み物の上級者にやり方を理解していただいてから、手分けして初心者に教えていただく手順で、なんとかやり遂げました。
この経験を機に、私は右手でも編めるように訓練し、利き手に関係なく皆さんに編み方をレクチャーできるようになりました。
――すごいですね! 左右どちらの手でも編めるなんて!
材料のポイント
材料を探すときの基準や大切にしていることはありますか?
長年使用して、古くなった洋服や日用品の中から愛着のあるもので「リメイクできないだろうか?」とよく考えます。そのモノの声を聴くように、対話するように、思い出や感謝をもって考えます。
すぐにアイディアが思いつかない場合は、そのまましばらく置いておきます。「SNIクラフト倶楽部」のFacebookグループ(※メンバー限定・非公開)などの投稿記事を参考にして、アイディアがひらめいたら取りかかります。うまくいかず、そのモノに感謝しながら断捨離することもありますが、うまくいったときのうれしさは格別です。
――すぐに新しい材料を購入されるのではなく、まず家にあるものを生かすことができないか常に考えていらっしゃるのですね。日ごろからモノを大切にされ、感謝して使われている様子が伝わってきます。
SNSでエシカル(倫理的)な生活をしている方の投稿では、自然素材を使ったり、リメイクをするアイディアが満載です。生活を丁寧に楽しみながら、地球環境と調和して生きている、そのような尊敬できる方がたくさんいらっしゃいます。そういった方々とのつながりも大切にしています。
――SNSで知り合った方々の発信も参考にされていることで、ご自身のアイディアも膨らみ、新しい作品がどんどん生まれていくのですね。
モノづくりのスタイル
普段、どのようにクラフトを楽しんでいますか?
場所はクラフトの作業部屋ですることが多いです。
「思いついたらすぐに実践する」ことが私のモットーです。アイディアが浮かんだらすぐにやってみて、ダメなら次に行きます。
生長の家の瞑想法である「神想観」を実修している最中にひらめいたことは、特にすぐ実践してみます。集中してクラフトに没頭できる時間は、至福の時ですね。
――アイディアが浮かんだら、いてもたってもいられなくなる。本当にそうですよね~
失敗は成功のもと!
ずばり「失敗は成功のもと!」と思う話がありましたら教えてください。
Tシャツヤーンの手編みのショルダーバッグを長女が愛用してくれたことがうれしく、次は夏バージョンとして「麻ひも」を素材に同じ要領でつくりました。
麻ひもは国産で手芸用のものを購入して編みました。長女は喜んで使ってくれたのですが、麻ひもの毛羽立った糸がスカートにこびりついてしまいました。その糸くずを取り除くのが一苦労で、とうとう使えないバッグとなってしまい、残念でたまりませんでした。
「何か解決法はないものか?」と悩み、SNIクラフト倶楽部の友達に相談をしました。たまたま、その友達も同じように困った経験があり、「麻を柿渋で染める」というアイディアが浮かんでやってみたら、上手くいったという話をきくことができました。
そこで私もすぐに実践してみました。すると、麻ひもの繊維がしっとりと落ち着いて毛羽立ちが抑えられ、色も深みを帯びて、すてきなバッグに変身しました。
――「柿渋」が功を奏したとは意外ですね! 一度は、使えなくなってしまったバッグが「柿渋」というアイディアのおかげで、よりすてきなバッグになるなんて、まさに「失敗は成功のもと」ですね。
クラフトも料理も自分の身体を使ってつくり出す喜びは同じだと思います。アイディアが現実化する喜びを知るために、人は生きているのではないかと思ったりします。
――自分の思いを形に表現できるのがクラフトのいいところですよね。
――最後に、作品のアピールポイントを教えてください。
麻ひものバッグは、簡単にすぐ編めるのが良いところです。ほかの方のように一生懸命につくったわけではありませんでしたので恥ずかしいくらいです。
しかし、失敗作品からよみがえった喜びがこの作品に込められています。そこがアピールポイントかな(笑)
さいごに
連載8回目となる「こもれび アナザーストーリー」、いかがでしたでしょうか?
「失敗は成功のもと」をあらためて学びました。SNSなどを通して多くの方々のアイディアも取り入れると、より一層魅力的な作品づくりにつながっていくのですね。モノづくりがますます楽しみになりました。
次はどんなアナザーストーリーを聞くことができるのでしょうか?
次回もどうぞおたのしみに~♪♪
(聞き手:SNIクラフト倶楽部・永井暁)
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