心をこめて繕うことで幸せになる

 私は物を捨てられない性分で、壊れてもなんとか使えないかと考えます。中学1年の時、上履きの擦り切れた所を、糸で繕ったのが最初でした。壊れたり破れたりしたものを、もう一度使えるように考えるのはとても楽しいものです。
 写真の青いスポーツウオッチは3年前に息子から贈られ、普段から愛用していましたが、バンドが切れてしまいました。切れた部分をきれいにカットして糸で繕ってつなぎ、接着剤で固定して同色のリボンを巻いてカバーしました。

バンドを縫ってつないだ。切り詰めて長さもぴったりに
接着剤で固定し、同じ色のリボンを巻いて完成

 白いハンドバッグは、気づいた時には内側部分が劣化してボロボロになっていました。でも外側や持ち手はまだ使えるので、思い切ってファスナーなども全て外して、作り変えることにしました。どのように直そうかわくわくしながら考え、裏地に水玉柄の紺色の生地を選び、ポケットも作りました。袋状に縫った裏地やファスナーは本体に手縫いして縫い付け、縫えない所は接着剤で貼り付けました。
 生まれ変わった時計やバッグは喜んでいるようで、私も幸せな気持ちに満たされました。

内側部分とファスナーを取り外した
接着芯を貼り袋状に縫った裏地
裏地と外ポケットを付けて完成

(大西淳子 SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.130(2021年1月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.54」

※この記事は2021年に執筆したものです

ダーニングで靴下をかわいく修繕する

 今、靴下の修繕がとても楽しい。
 以前から破れた靴下は修繕していたけれど、穴を縫い縮めていたので、そこが靴の中でゴロゴロして違和感があって好きではなかった。
 何か良い方法はないかとインターネットで探して「ダーニング」のことを知った。穴が空いた靴下を電球にかぶせてヘアゴムでしばり、縦と横に交互に糸を通して、織物をするように穴を塞ぐ。電球の丸味のおかげで、針が糸と糸の間をスイスイ通る。靴下に新たな布地が織り込まれて、何とも愛嬌のある靴下に生まれ変わるのだ。アップリケのようにカラフルにかわいく修繕して、1足の靴下を20年も履いている人もいる。マッシュルームという専用の道具も販売されているそうだ。

電球に靴下をかぶせて、穴が空いたところを慣れた手つきで縫っていく

 ちょっとでも穴が空くと嬉々として繕うので、靴下が長持ちする。長持ちするから滅多に買わないが、安売りの靴下は買わないように心がけている。わが家の靴下も20年持つかもしれない。

ダーニングで修繕されたSさんの靴下。自分の手で修繕することでいっそう愛着がわく

(Y・S SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.120(2020年3月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.44」

※この記事は2020年に執筆したものです

手づくりで、疲れた頭もスッキリ

 道具や衣服を長く大切に使う両親に育てられたことで、専業主婦の時は手づくりやリメイクを当たり前に楽しんでいた。4人の子どもを育てながらフルタイムで働き始めてからは、仕事の責任が重くなるにつれて早出や残業が増え、出来る限り手づくりにこだわりつつも、楽しさを忘れかけていた。
 そんな時、「Tシャツヤーン」のことを知った。これは、古着やTシャツ工場で出た端布を裁断して作った、とてもエコな編み糸だ。しかも、古くなったTシャツなどから、自分で作ることも出来るのも嬉しい。

古着のシャツに細長く切れ込みを入れ、一本の編み糸にしていく。無心になる癒やしのひととき

 家族の着古したTシャツが沢山あったので、新しく生命を与える絶好の機会になった。仕事で遅く帰っても、色やデザインを考えてTシャツを選び、少しの時間でもよく切れるハサミでザクザク切って、編み糸を作る。買ってきたTシャツヤーンも使って、思い描いた通りにバッグなどを編み上げると、仕事で疲れた頭もスッキリして、楽しみながら元気になっている自分を発見した。

Tシャツヤーン(左上)と作品のミニポシェット。色違いで作り、その日の気分に合わせて選んでも楽しい

(Y・S SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.119(2020年2月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.43」

※この記事は2020年に執筆したものです

ひと手間加える楽しさと喜び

 私がクラフトの中で一番好きなのは、空いた容器などに手を加えて、見て楽しく、使って嬉しいものに変身させることです。
 佃煮の木箱は、ペーパーナプキンを貼り、蝶番を取り付けてフタを開閉できるようにし、アクセサリー入れにしました。元は黒色だった海苔の空き缶も、端布やレースを使って明るくイメージチェンジ! ジャムの空きビンには、切り抜いたラベルを貼り、フタは布で覆って綿を入れ込み、ピンクッションとしても使えるようにしました。美容クリームの容器は、紙やすりで表面の印刷を消してからペーパーナプキンを貼り、ビーズなどの小物入れに。

使い終わった佃煮の木箱、ジャムの空きビン、美容クリームの容器が、おしゃれな雰囲気に生まれ変わった
佃煮の箱には蝶番を付けて、開閉式に

 空き箱はきれいな絵や写真のカレンダーを貼って、手作りのお菓子を差し上げる時に使っています。すると相手の方が、「箱がもったいない」と返して下さるので、また別の方へと何度も行ったり来たりして、有効活用してもらえる喜びを感じています。今では“空く前”から、「これはどんな風に変身させようかな」と考えるのが、楽しみになりました。

空き箱もカラフルに変身し、手作りお菓子の箱に

(H・N SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.111(2019年6月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.35」

※この記事は2019年に執筆したものです

家にあるもので髪飾りを作る

 着物の着付けを習い始めて2年近くになる。着物を着て出かける機会が増えてきたある日、着物にあった髪飾りがほしいと思い立った。私は、趣味で水引細工をよく作る。そこで家にあるもので髪飾りを作ることにした。


 昔、母からもらったUピンが家にはあった。このUピンと、金具部分が壊れてしまったキーホルダーやアクセサリーの一部を使うことにした。自分が使う物だから、これで十分だと思った。
 物を捨てる前に、壊れていない部品が何かに使えるかもしれないと考え、使えるものは捨てずにとっておくことにしている。(だが、私は決して物を捨てられない人間ではない)


 アイディア次第で、まだ使えるものを捨てずに済んだり、眠っていた物たちが形を変えてまた新たに光を浴びることができるかもしれない。そう思うと嬉しくなる。そして何より、限られた物の中で作り上げていくことが楽しいのだ。

自宅にあるものをリユースして作った髪飾り(左)。右は娘のために制作したピン留め

(N・K SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.97(2018年4月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.21」

※この記事は2018年に執筆したものです