探す・試す・考える 素材にこだわったクラフト

前の記事でもご紹介した
亜麻(リネン)×和紙糸の食器洗いクロス

この手作り食器洗いクロスができるまで、
素材・材料選びから、使い心地の検討まで、
さまざまな苦労があったと教えてくれたのは、
SNIクラフト倶楽部のメンバーでもある
ブランドネーム「手作り雑貨ふわふわ工房」さんこと、近藤弥栄子さん(山梨在住)。

今回は、近藤さんご本人にお話を聞いてみました。

試行錯誤すること約3ヶ月

-この食器洗いクロスを手作りしようと思ったきっかけはなんですか。

近藤:
「全国のSNIクラフト倶楽部の方々が作る自然素材たわしの作品をみて、
エコたわしを作りたいと思ったのが始まりです。
ただ、麻紐は食器やフライパンが傷つかないのかな?と思い、
柔らかい生地を探すことにしました。
近所に手芸用品店がないので、

忙しい仕事・育児・家事の合間をぬってインターネットで生地を探す日々が続きました。」

-これまでどんな素材を試してみたのでしょうか。

近藤:
「最初に購入したのは、国産の麻100%の生地で、食器を洗った時に汚れが目立たない緑色を選択しました。(少しお高めの生地)
届いてみると、サラサラの質感でブラウスなどが作れそうな上質なものでした。

でも、せっかく注文したので、一応クロスを作って食器を洗ってみました。目が細かい生地だったので、水を含むとかたくなり、すべらないので、とっても洗いにくいことが判明!しかも、緑色の麻の繊維が出てきて、これは諦めました。」

-なるほど。

近藤:
「その後もネットで引き続き探し、次に注文したのは、THE麻!という感じのジュード生地です。こちらは、はさみでカットすると繊維がホロホロとほどけてきて、縫う時でさえも扱いにくく、
食器洗いにしたら、かたすぎて、器やコップの隅が全く洗えないので、こちらも諦めました。
(現在は、布の4辺を三つ折りに折り込み、 ぼろぼろとほつれないように縫って、シンクや排水溝を洗うクロスとして活躍しています)」

近藤:
「それでも諦めきれず、布製の食器洗いなどを検索していると、タテ糸は亜麻(リネン)、ヨコ糸は和紙のワッフル生地を発見しました。
お試し用に生地を購入して、早速作ってみると、今までで一番いい! 
主人の感想も洗いやすい!と高評価でした。」
(ただメーカーに問い合わせた所、製造は日本国内ですが、

リネン繊維と、和紙糸にする繊維は国産では無いため、輸入しているとのことです。)

-聞くところによると、ミシン糸もこだわったらしいですね。

近藤:
「そうなんです。普段使っているミシン糸をよーく見ると、
ポリエステルと表記されていて。
糸まで気にしていなかったと気づき、
日本製のコットンのミシン糸に変え、
すべて自然素材の材料を使うことを心がけました。」

-近藤さん、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。


1人の行動が、まわりにも良い影響が

様々な生地や素材を試しては考えること、なんと約3ヶ月間。

この食器洗いクロス、
今では、生長の家“森の中のオフィス”内にある「SHOPこもれび」でも販売されるほか、

地元のワークショップ等で、
近藤さん自ら知人友人に作り方をにレクチャーするなど、
自然素材の食器洗いクロスの輪が、徐々に拡がっています。

また、普段インターネット上で交流する
SNIクラフト倶楽部の仲間も興味を持ち、
「自分も作ってみたい」という声も上がっています。

時間をかけ、試して作る。そして使い心地のよいものが良い

地球の未来を守りたい。
だから自然に優しい素材にこだわりたい。

そして、毎日使うものだから、使い心地がよく、
お手入れもしやすいものが良い-

地球環境の目線にも、
使う人の目線にも立った、アイディアが込められたクラフト。

そのために、時間をかけて何度も作り、試しては考え、再度作ってみる。
この繰り返しが、自然にも人にも優しいクラフトに繋がっていく-

お話を聞き、そう改めて感じるのでした。

(SNIクラフト倶楽部事務局 松尾純子)

【つくり方】つくってみよう♪亜麻(リネン)の食器洗いクロス

以前ご紹介しました「自然素材の食器タワシを作ってみた」に続き、
キッチンで活躍する食器タワシのシリーズ第2弾です♪

自然由来の素材でできているもの(自然からお裾分けしていただく)、
長く大切に使ったあとは自然(土)にかえるもの、
という視点で、毎日の食器タワシも選んでみてはいかがでしょうか。

例えば、綿、麻、へちま、シュロなど・・・。
身の回りには、天然素材でつくれる日用品がたくさんあります。

そこで、
今回は、亜麻(リネン)×和紙糸でできた食器洗いクロスをご紹介します。
生地がポコポコしていて、汚れが落ちやすく、
乾きも早いので衛生的なこのクロス。使い勝手もよくておすすめです♪

また、この亜麻(リネン)×和紙糸の食器洗いクロスを作った
SNIクラフト倶楽部のメンバーのひとり、
「手作り雑貨ふわふわ工房」さんこと、近藤弥栄子さん(山梨在住) に
お話を伺うことができました♪
素材・材料選びから、使い心地の検討について、
とっておきのエピソードを教えてくれました♪
 →探す・試す・考える 素材にこだわったクラフト


亜麻(リネン)×和紙糸の食器洗いクロス の作り方

まずは材料

① タテ糸は亜麻(リネン)、
ヨコ糸が和紙糸のワッフル生地(日本製・繊維は輸入)を用意します。

② 綿100%の縫い糸
今回はオーガニックコットン100%の糸を使用しました。


③ 麻テープ(タグ部分)


  ④ スタンプ用のインク(環境に優しいインク)


作り方

① タグ部分の麻テープにを二つ折りし、輪部分の方に好きな柄をつけます。
今回は、ハンコとスタンプ用インクでハート柄をつけました。
このとき、端部分に柄をつけても、あとで縫い付けて内側に入ってしまうので注意です。
その後、着色を安定させるためにアイロンを15秒ほどあてます。(ドライ)

一番最後は、このようにタグの端は
内側に縫い込みます。
スタンプを押すのは輪の方にどうぞ

② ワッフル生地を半分に折ります。このとき、裏表は気にせず折ります。

③ 上部分の端から2目くらいのくぼみに印をつけます。
ココを横方向へ、なみぬいで縫っていきます。
最後までいったら、返し縫いします。

④ 同様に、下部分の端から2目くらいのくぼみに印をつけ、横方向に縫っていきます。上記③参照です。

⑤ 上と下が縫えたら、ひっくり返します。
アイロンをかけます(スチーム)。

まだ縫っていない縦側の端を、内側に1センチほど折り返し、その跡をつけるようにアイロンをあてます。跡がついたら全体的にアイロンします。

⑥ 初めに①でつくったタグを、縫い付けます。縫い目が目立たないので、なみぬいでざくざく。

赤いハートのスタンプがすれちゃった(涙)

⑦ かがり縫いで口を閉じていきます。タグ部分は縫い目が目立たないよう上からなみぬいします。糸を始末したらあと一息!

⑧ 最後にアイロン(スチーム)で形をととのえます。完成♪


使う時のポイント

・吸水性がいいので、縮んで一回り小さくなります。
・使用後はしっかり絞って乾かして下さい。
・油が落ちない場合は、環境に優しい洗剤をお使いください。(泡立ちません)
・定期的に天日干しにしたり、煮沸消毒すると衛生的です。

いろんな自然素材のタワシを使い分けてみよう

食器洗いは、
「洗浄力の高い洗剤×泡立ちの良いスポンジ」が
当たり前になってきている現代。

ですが、泡立ちの良いスポンジはプラスチック製の物がほとんどで、
・限りある地下資源(石油)によって大量生産されている
・ 洗いながら、生分解しないマイクロプラスチックを川や海に流してしまう
などの問題があります。

洗浄力の高い洗剤については、
ここでは詳しく説明しませんが、化学成分を使っているため、
水質を汚染し、微生物を初めとした生物に悪影響を与え、
生態系を壊すなどの問題があります。

そのため、今回の亜麻に限らず、
綿、麻、へちま、シュロなど、いろんな自然素材のスポンジやタワシを、
目的や用途に合わせて使い分けてみてはいかがでしょう。

少しめんどくさいなと思えることも、
ちょっとした環境への思いやりによって、
地球環境を守ることに繋がりますね♪

(SNIクラフト倶楽部)

【つくり方】自然素材の食器たわしを作ってみた

朝・昼・夜、食事後の食器洗い。

食器を洗うスポンジ・たわしは、
家事でいつもお世話になっているアイテムです。

スポンジを買うとき、あなたは何を基準に選んでいるでしょうか。

安さ?

汚れ落ち?

それともデザインや可愛さ?

今日は、食器を洗うたわしを自然素材で作ってみたお話を紹介します。


スポンジはプラスチックでいっぱい

食器を洗うスポンジのほとんどは、プラスチックで作られています。

食器洗いスポンジの定番の素材、ウレタン・ポリウレタン
主にネットタイプのスポンジに使用されているポリエステル・ナイロン
「洗剤を使わなくてエコ」と言われてきたエコたわしのアクリルなど。

これらはすべて、石油由来の資源から作られています。

使用していくうちに、ゴシゴシと擦れたスポンジ表面・毛羽立ったアクリル、
ほつれたネット等、小さなプラスチックの粒子や繊維が、排水溝へ流れて、
マイクロプラスチックによる海洋汚染の問題にも繋がっています。


自然素材でできた たわし

かわいい、カラフル、安い、まとめ買い・・・
ついまぁいっかと思って手軽にスポンジを買う人も多いかもしれません。

ですが、

風に飛ばされたり下水に流されたプラスチック製品のほとんどは、
土に還らずに土壌汚染・海洋汚染の原因になります。

一方、もしも土壌や河川、海に流れても
(そうならないようポイ捨てをしない、ゴミを正しく分別する等が大切ですが)
天然素材の場合は自然界に還るので、環境に優しい面もあります。

そんな視点で、毎日の食器たわしも選んでみてはいかがでしょうか。

例えば、綿、麻、へちま、シュロなど・・・。

身の回りには、天然素材でつくれる日用品がたくさんあります。


オーガニックコットンでたわしを編んでみた

今回使ったのが、日本製のオーガニックコットン100%の毛糸です。

できるだけ地球環境に負荷が少ないものを使いたくて、

一定の期間、薬や化学肥料を使用していない農地で、
農薬や化学肥料を使わずに栽培されたオーガニックコットンの毛糸
を選びました。

また、この毛糸は植物の花びら、葉、茎、種、実などから抽出した染料を使用した、ボタニカル染めの糸です。

ワークショップのイベントを2回開催。たくさんの人とあみあみ。
5月にもまたイベントをします。

 今回はストロベリー・レモン・ブルーベリーのカラーを用意しました。


材料・道具

・毛糸玉(合太)2色・・・毛糸が細いので、2本取りで編みました
・かぎ針 3/0~5/0号
・とじ針(なくても大丈夫)
・ハサミ

作り方

かぎ針編みのエコたわしを作るときと同じです。
初めての人は、正方形がオススメです。

かぎ針でつくる食器たわしの作り方
※サイトの素材はアクリルですが、作り方のご参考としてどうぞ。
 毛糸は自然素材をおすすめします。


1.まずはじめに
  かぎ針の持ち方、毛糸の持ち方

2.鎖編みで作り目を20~25目編みます。(紹介したサイトでは16目編むとなっていますが、今回は毛糸が細いため、多めに編みました)
 ⇒作り目の仕方

3.2段目を細編み(こまあみ)で編んでいきます。このとき、立ち上がりの鎖を1目編むのを忘れないようにします。
 ⇒細編み(こまあみ)の基本

4.上記2.の細編みを20~25段編みます。正方形、またはお好きな大きさまで編み進めます。

5.たわし部分が完成しました。
取っ手のひもをつけたい場合は、鎖編みを10目ほど(好きな長さで)編みます。
 ⇒ひもの付け方 (リンク先サイト:正方形の作り方の⑥~⑩を参照)

6.最後の糸処理をします。
数センチ残っている糸を始末します。
とじ針がない場合は、かぎ針でも代用できます。
 ⇒糸の始末

完成です!!


他のかたちにもチャレンジ


いろんな自然素材のたわしを使い分けてみよう

実際にコットン(綿)毛糸のたわしを使ってみると、柔らかめのたわしです。

洗剤を使わずに食器を洗えます。
もし洗剤を使うなら環境によいものがオススメです。

これまで、「便利・早い・簡単」の生活に慣れてきた現代の生活。
食器洗いも、「便利・早い・簡単」と謳われたプラスチック製のスポンジで、
ごしごし・どんどん・すいすい洗ってきました。

ですがその「便利・時短」の裏側
プラスチック製のスポンジ・たわしは限りある石油資源を使っていること、
洗いながら海や川を汚している問題が隠れていることを知りました。

ここでひとつご提案です。

自然素材のスポンジ・たわしを、
目的や用途にわけて使い分けてみてはいかがでしょう。

たとえば・・・
綿は少ない汚れのお皿、
麻やヘチマは多少の汚れ、
シュロ素材の亀の子束子はお鍋や目・溝がある調理器具など。
(あくまでも個人的な感覚の使い分けです。
もっと良い方法があったら教えて下さい☆)

わざわざスポンジやたわしを持ち変えるのがめんどくさい!
と思うかもしれませんが、

そのめんどくささと、
ちょっとした環境への思いやりが、

毎日の食器洗いという習慣が変わり、
地球環境を守ることに繋がるんだなぁ

そう感じました。

           今回ワークショップで配ったメモ

(SNIクラフト倶楽部)

【つくり方】キッチンで活躍 ミツロウラップをつくろう

おにぎりを包む、お皿にかける、食材をつつむ。
毎日キッチンまわりで使用しているプラスチック製のラップ。

しかしプラスチック製ラップは、
主にポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどが
原材料になっています。

燃やすとダイオキシンの発生につながり、
様々な添加物が使われ、使い捨てのためゴミとなってしまいます。

そこで、自然に優しく
できるだけ地球環境に負荷が少ないもの
自分で手作りできないだろうかと思い、
ミツバチの巣を構成する蝋を精製した「ミツロウ」と、
国産のコットン生地で、
繰り返し使えるミツロウラップを作ってみることにしました。

今回材料として選んだのは、国産のオーガニックコットン生地と、
日本ミツバチのミツロウ(山梨県山梨市のあじわい百花蜜さん)です。

貴重な日本ミツバチのミツロウ

これまで使い捨てしてきたプラスチック製のラップから、
繰り返し使える、自然素材のラップにシフトチェンジことで、
毎日の食事も楽しくなりそうです♪


わたしは、こんな時にミツロウラップを使っています
・おむすび、サンドイッチ、果物、お菓子等を包んでおでかけのおともに。
・お料理したあと、お皿にかけて冷蔵庫へ。
・野菜を包んで冷蔵庫または常温で保存にも。
・適度な通気性があり、食品を新鮮に保てます。

材 料

①ミツロウ
(一人あたり17グラム~足りない場合は少量足しながら。
下記② のサイズより小さい布・異なる厚みの場合、ミツロウの量が変わってきます。)

②布
(今回は35㎝×35㎝の正方形サイズを使用しました。生地の厚さは普通または厚すぎないもの)

③布切はさみ
(ピンキングハサミがおすすめです。糸がほつれにくくなります。)

④アイロン

⑤クッキングシート

⑥アイロン台(またはダンボールの上にタオルをかける)

⑦新聞紙

⑧古くなったタオル

⑨お湯

事 前 準 備♪

・食品にふれるため、布を「事前に水通し、乾かしてアイロンをかけておく事」をおすすめします。
・ミツロウが付いた手肌やアイロンの裏、はさみを簡単にぬぐうための「古くなったタオル」「お湯」を用意しておくと、便利です。

作り方はこちらから

①生地を裁断します。ピンキングハサミを使うと糸がほつれにくくなります。
今回は35㎝×35㎝の正方形サイズにしました。

②ミツロウを削ります。
うすーく、こまかく削るのがポイントです。
アイロンで染みこませやすくなります。
刻んだミツロウが大きい・厚いと、熱で溶かしたときにムラになりやすいです。

③アイロンの熱でミツロウを溶かし、伸ばしていくように生地に染みこませていきます。使用する生地のサイズと厚さで、ミツロウの量が変わってきます。
(一人あたり17グラム~ 足りない場合は少量ずつ足しながら)

アイロンの温度は、「低」~「中」に設定します。
他のミツロウラップ作りWEBサイトさんでは、「高」としているところもありますが、融点は64度前後のため、どちらでも仕上がりに問題はないと感じました。
ただ、使用する布の素材によって、高温だと適さない素材もありますのでご注意です。自然素材の綿や麻の素材は高温でも大丈夫ですよ。

④全体的に染みこませたら、多くミツロウがついているところにアイロンをあて、 まだミツロウが少ないところに伸ばしていきます。また、ミツロウが多いところは、アイロンのエッジのところでぐいぐいと掻き出してあげると、ムラが均一になります。

⑤生地を乾かします。ミツロウの融点は64度前後です。手に持った状態で30秒程すると自然に乾きます。

⑥実際に食品をつつむ前に、水洗いをおすすめします。

⑦たたむのOK!
ぴーんと堅い状態ですが、食品やお皿を包むときに、手のあたたかみでほんのり柔らかくなります。

ワンポイント♪

・アイロンにミツロウがついてしまった場合は、
作業後に①濡らした雑巾に、②熱したアイロン(スチーム機能があるものはスチームを出して)を①の雑巾にあてます。熱で溶けたミツロウを雑巾で拭き取ります。アイロンの表面の小さな凹みに入ったミツロウは、綿棒で取ることができます。

・熱に弱いので、電子レンジでチンや温かいもの(作りたてのおかずや炊きたてのご飯等)を包むのは避けましょう。

・水で洗って何度でも使えます(お湯で洗うとミツロウが溶けてしまいます)。

・環境に優しい食器用洗剤と、柔らかいスポンジで優しくなでるようにして、洗うこともできます。

・ミツロウが溶けるので、酸性の強い食材(柑橘系の果物等)を直接包むのは避けましょう。

・使用後は、自然乾燥した上で保管しましょう。直射日光を避け、風通しの良い場所で保管してください。

以前ワークショップに参加したみなさんに配付したカード

(SNIクラフト倶楽部)