草木染めの愉しみ①

 昨年の秋、白いサラシを染めてみたくなり、草木染めに挑戦しました。図書館で本を借りると、身の周りの色々なもので染められると分かり、たまねぎの皮や笹の葉、巨峰の皮、びわの葉、ごぼうのアク抜きで出た茶色い汁でも染めてみました。草木染めの楽しさを知ると、自転車に乗っていても、すすきやどんぐり、葛の葉など、目に飛び込んでくるものすべてが染めの材料に見えて、自然がぐっと近くなりました。

淡い色合いが美しい、津島さんお手製の草木染め。左から、巨峰、ローズヒップ、葛、笹の葉、ごぼう、たまねぎで染めた
たまねぎの二番煎じの染液で染めたサラシを使って、蜜蝋ラップを作った

 私が感じた草木染めの魅力は、一筋縄ではいかない意外性です。植物の色素を鮮やかに発色させ、色落ちを防ぐための媒染という工程によって出る色は変化するので、染め上がるまで仕上がりは分かりません。同じ材料を使っても染める度に微妙に違う色を見せてくれるのです。
 面白いのは、緑の葉で染めても緑色にはならいことで、緑色を出すには一度黄色に染めてから藍色で染めると知り、緑という色の奥深さを知りました。何種類も色が揃ってくるととても美しく、古の十二単衣はこんなふうに染められたのかなと、平安時代に思いを馳せました。

笹の葉を煮出して草木染めてみると、緑色ではなく、若竹色に染まった

(津島昌子 SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.123(2020年6月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.47」

※この記事は2020年に執筆したものです