木の端材から新たなモノをつくり出すよろこび

子どもの頃、自宅の物置には要らなくなった木の端材が保管されていました。
日曜大工と奉仕活動が大好きな父は、歩道の側溝のフタが腐って、歩行者がはまらないように、半年に1回、端材を利用して新しいフタにつくり替えていました。そんな父親の姿を真似て、私も一緒にフタづくりを手伝ったり、自分で整理箱や本棚などもつくりました。下手でも自分でつくったモノには愛着が湧き、いつまでも大切に使いました。

ここで紹介するのは、最近つくった木箱。長さが不揃いの端材を段違いにつぎはぎにすると、既製品にはない面白いデザインになりました。私は「木工は、隙間があっても、ゆがんでいてもいい」と思っています。廃棄処分される予定だった端材を最大限に生かして、新たなモノをつくり出すことができたよろこびの方が大きいからです。モノに宿る“いのち”に触れたような感じです。
(永井 暁・SNIクラフト倶楽部)

白鳩誌No.79 2016年10月号より