作品名『八ヶ岳ブックスタンド』 作者:暁工房
――今回、お話いただいたのは、ブックスタンドを八ヶ岳に見立てて製作された暁工房さん。
八ヶ岳、といえば山梨・長野両県へまたがる日本百名山の一つです。
そんな八ヶ岳をブックスタンドのモチーフにした経緯や、木工作品を得意とする暁工房さんならではのお話をどうぞお楽しみください。
作品ストーリー
どのようなきっかけで、この作品をつくろうと思いましたか?
5~6年前に「木」という素材で “自分で簡単につくれる・人のお役に立つものを” という発想から「ブックエンド」をつくるようになりました。
はじめは「コの字型」のシンプルなデザインでした。2個のブックエンドの間に大小さまざまな書籍を挟んで並べてみると、そのありさまが八ヶ岳の山々のように見え…それが『八ヶ岳ブックスタンド』のアイデアにつながりました。
――何気ない日常に、アイデアがあったとは、すてきな話です^^
材料のポイント
材料を探すときの基準や大切にしていることはありますか?
廃材や端材でつくるようにしています。
その方がとても表情のあるクラフト作品に仕上がり、私はとても気に入っています。
――材料はどのように仕入れていますか?
製材所が多いです。製材所だと、端材を無料でくださる場合があります。
インターネット等で地元の製材所を検索して、電話で「端材をもらえるかどうか」尋ねてみると良いです。
木造の家を解体したりしている所があれば声を掛けるのも良いですね。
ホームセンターでも端材が販売されていますが、どうしても入手できない場合は、国産材を必ず選んで購入します。
また、ときどきですが、原木や廃材を譲っていただくこともあります。
――材料ひとつとっても、さまざまな仕入れ方法があるのですね。大変参考になります。
そして、環境に配慮されているからこそ、仕入れ方法の豊富さ、考え方の柔軟さへつながっているのだろうなと思いました。
ものづくりのスタイル
普段、どのようにクラフトを楽しんでいますか?
製作場所は、自宅の車庫が多いです。
自分でつくった木製作業台で、木工品をつくるのが最高です。
大好きなクラシック音楽を聴きながらだと、作業がもっとはかどります。
――好きな場所で、好きな音楽に囲まれてクラフトする時間。いいですね。「最高」の言葉から、楽しさが伺えます。
作品をつくるときは、「自分のためよりも、誰かのためにお役に立てないか?」を常に考えています。その方が、つくりがいもあり、喜びも大きく、時間を有効に使える実感があります。
つくる時間より、「どんな作品をつくろうか?」と考えている時間の方が長いかもしれません。(笑い)
また、自分でも簡単につくれるものはないかと、常に情報収集しています。木工サイトやSNS、雑貨店やクラフト市めぐりだけでなく、ファッション関係、スーパー、ホームセンター、レストランなど、ありとあらゆるお店にある陳列棚、小物、お店の看板などを眺めては、「木で製作できないか?」と自分に問いかけて、日々ワクワクしています。
――クラフトに対する日々の姿勢からも、クラフトへのよろこびが伝わってきます。
思うように工程が進まないこともあります。
木工製作ばかりしていると飽きてくるというか(笑い)、
そんな時は、畑仕事や部屋の片づけ、整理・整とん、薪割りと、ほかの作業も同時並行で行うことで、また新たなアイデアが浮かび、満足のいく作品に仕上がっていきます。
――日常の中にクラフトが溶け込んでいることが垣間見え、肩の力を抜いて楽しんでいいのだな~と思えるお話ですね。
失敗は成功のもと!
ずばり「失敗は成功のもと!」と思う話がありましたら教えてください。
おおよそ、つくりたい作品の絵を描いてから製図を簡単に書きますが、製図どおりに完成したことはありません。(笑い)
必ず途中で寸法が狂ったり、歪んできたりしますが、それをどうにか解決していく過程が楽しく、完成したときの喜びは一入(ひとしお)です。
私は、多少隙間が空いたり曲がったりしていても、味わい深い作品になると信じています。だから、初めから傷が入っていたり、汚れていたり、塗装が施してあるような廃材・端材を使うことが大好きになりました。
サイズがバラバラで使いづらいかもしれませんが、捨てられる予定だったものから、また新たなモノをつくり出すことが楽しく、愛着がわき、私たちの身の回りにあるどんなモノでも大切に使っていきたい気持ちが湧いてきます。
――失敗と捉えてしまいそうなことも、暁工房さんにとっては、面白さのひとつであり、味わいとして感じていらっしゃるのですね。そして、モノを大切にすることにつながっていく心の持ち方も、クラフトの醍醐味なのだと感じます。
(※生長の家の美術公募展)
作品のここに注目
おすすめの使い方を教えてください。
一般的なブックエンドは1個で使うことが多いですが、「八ヶ岳ブックスタンド」は2個1組で使います。そして、大小さまざまな書籍をたくさん並べることによって、作品が生きてきます。
~~と、いうことで実際にやってみました^^~~
本の大きさによるジグザグがひとつのアートになるブックスタンドとは、画期的で素晴らしいアイデアですね!色んな高さの本を並べてみたくなります。
さいごに
今回の「こもれび アナザーストーリー」はいかがでしたでしょうか?
参考になる話も多く、クラフトへの意欲がぐんぐんと湧き出てきた方もいるのではないかと思います。
私自身、作者の方へお話を伺うことで、共感したり、知らないことを知るよろこびであったり、楽しい時間となりました。
今後も展示作品を出品いただいた作者の方へお話を伺っていく予定です。
次回は、どんなアナザーストーリーを聞くことができるのでしょうか?
次回もどうぞおたのしみに~♪♪
(聞き手:SNIクラフト倶楽部・松尾富美子)
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